フィンランド国立歌劇場から、ソプラノ大村博美『ノルマ』にむけてのメッセージ!~「嫉妬や激怒や絶望の嵐を経験しながらノルマが辿り着いたのは、本当に正しいと信じることをやりとげる勇気と高貴な魂でした」

現地時間の今日、1月31日にフィンランド国立歌劇場『蝶々夫人』のプレミエを迎えるソプラノ大村博美から、3月〈東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ〉公演V.ベッリーニ『ノルマ』にむけてのメッセージが届きました!

思えば、昨年2017年の大村は、NHKニューイヤーオペラ・コンサートでの『ノルマ』の名アリア「清らかな女神よ(Casta Diva)」に始まりました。2月東京二期会『トスカ』主演、そして10月には日本で100公演目の蝶々夫人を迎え、その後も、カナダ、ラトヴィアで同役の舞台をさらに重ね、今年最初のオペラをフィンランドで迎えています。
蝶々夫人と並んで大村の真骨頂といえるノルマ。これまで彼女の本拠地であるフランスで舞台を踏んできたこの役が、ついに日本で、オーチャードホールで聴ける日が近づいてきました。

 大村博美

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「時代を超えて感動を与えてくれるオペラは必ず、いつの時代にも共通の人間の深い苦悩や喜びを鋭く真摯に描いています。『ノルマ』というオペラも人間のドラマが本当に素晴らしく描かれていて、演じ歌っているうちに最終幕など涙がこみ上げてきます。

ヨーロッパでこの役を、ローザンヌ歌劇場でロベルト・リッツィ・ブリニョーリ氏の指揮、トゥーロン歌劇場でジュリアーノ・カレッラ氏の指揮、マッシモ・ガスパロン氏の演出で歌いました。今回日本でまた大好きなこの役を歌うことができて本当に嬉しいです。

以下写真3点=ローザンヌ歌劇場『ノルマ』公演より(撮影:Marc Vanappelghem)


ノルマという女性は、神からのメッセージを同胞に伝えることができる能力の為に、一族の頭ともいうべき責任ある立場にいる女性です。"ノルマ" というのはイタリア語で "きまり"とか"ルール"という意味ですが、彼女は自分の一族の中でまさに 掟やきまりに忠実に、ルールを守って生きるお手本のような立場にいます。そして、ローマ軍と戦うことを望む同胞をなだめながら、何よりも平和を求めて真摯に祈る 美しい心を持っている人でもあります。
そんな彼女、"ルール"のお手本であるべき彼女が、こともあろうに 敵のローマ軍の将軍を愛して子供までもうけてしまった。誰にも言えない重大な秘密です。しかも望みの綱の彼は自分より若い巫女のアダルジーザに心を移して自分から去っていこうとしている。ノルマの絶望感は計り知れないほど深く切実です。
嫉妬や激怒や絶望の嵐を経験しながらノルマが苦しみながら最後に辿り着いたのは、自らの激情に打ち勝って 本当に正しいと信じることをつらくてもやりとげる勇気と高貴な魂でした。



最後にノルマはみんなの前で真実を明かして子供を父に託し、自らは潔く死ぬことで全ての責任をとります。その大詰めのシーンでノルマは、"ああ、もう思い残す事はない。お父さんが涙を浮かべて私を許してくれた。私は幸せだ" と歌いますが、ここを歌っているとノルマの心のいじらしさに感動していつも涙がでてきてしまいます。

昨年末から『蝶々夫人』の公演のためフィンランド国立歌劇場で歌っていますが、自由な時間には歌劇場でノルマの練習をしている今日この頃です。3月に日本で歌わせていただくのを楽しみにしています」



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歴史的なディーヴァ(歌姫)が歌い継ぎ、人間の深い想いが宿ったオペラ史上屈指のヒロインのひとり、ノルマ。オーチャードホールでの大村博美の出演日は3月17日(土)です!

▼大村博美、ファン待望のノルマ!
《東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ》V.ベッリーニ『ノルマ』(セミ・ステージ形式) - 東京二期会

 2018年3月17日(土)17:00/18日(日)14:00 Bunkamuraオーチャードホール
 (※大村の出演日は17日)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
   (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
 
 

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