【新規開講】二期会AiKoKa 「トライアルコース」レポート~5月、6月の講座より

2022年5月に新規開講した、AiKoKa「トライアルコース」をご紹介します。
二期会の誇る多彩な講師陣がお届けするアマチュア向けの月1回の「オペラ・声楽講座」。
・テーマ性ある講座から自由に選んで受講ができます。
・講座は声楽講師によるレクチャーと公開レッスンの2本立て。
大人気の歌唱レッスンはほとんど満席ですが、聴講のみでもお気軽に参加頂けます。
是非、皆様も二期会会館に学びにいらしてください!

●トライアルコース主任講師、高田正人
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いつも爽やかで素敵です。

●第1回 5月14日(土)
「イタリアの魅力」
講師:高田正人 ピアノ:笈沼甲子 @二期会会館 第1スタジオ
聴講の皆様も真剣です。
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「オペレッタを歌おう(1)」
講師:鷲尾麻衣 ピアノ:吉田貴至 @二期会会館 第2スタジオ
熱い指導で、受講生も講師の鷲尾も踊り出しそう! 202206_trialcourse_03.jpg

●第2回 6月11日(土)
「声の魅力」
講師:成田勝美 ピアノ:田島葉子 @二期会会館 第1スタジオ
成田の講座は身体全体の使い方を楽しく指導。笑いが絶えません。
皆様、短時間で確実に声が変わって行きます。
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「日本歌曲を唄おう」
講師:前澤悦子 ピアノ:鳥居礼子 @二期会会館 第2スタジオ
受講生のお父様の思い出を伺い、みんなほろっとする場面も。日本歌曲って素晴らしい!
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次回の開催は、7月9日(土)です。
・魅力シリーズ「オペレッタの魅力」
 講師:菊地美奈 ピアノ:吉田貴至 @二期会会館 第1スタジオ
・歌おうシリーズ「オペレッタを歌おう(2)」
 講師:鷲尾麻衣 ピアノ:細川智美 @二期会会館 第2スタジオ
どちらも《歌唱レッスン付》は定員に達したため申込み受付を終了しておりますが、魅力シリーズ「オペレッタの魅力」は開催15日前まで《聴講》の申込みを受け付けております。皆様、お待ちしております!
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▼トライアルコースの詳しい講座のご案内はこちらをご覧ください
AiKoKa トライアルコース|声楽を学びたい方へ - 株式会社二期会21
※最新の「募集状況」の一覧(PDFファイル)を掲載しています

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7月公演 ワーグナー『パルジファル』~クリングゾル役 門間信樹インタビュー「人間じゃない存在なのに一番人間的」

二期会創立70周年記念公演、ワーグナー『パルジファル』キャスト・インタビュー。今回は、自身初ワーグナーにしてクリングゾル役に挑戦する門間信樹です。
端正な舞台姿と繊細な表現力を持ち、複雑な心理描写にも長けるバリトン。2012年二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『スペイン時間』ラミーロで二期会デビュー。翌年『ホフマン物語』に出演後、長くニューヨークに活動の拠点を置き、2021年『サムソンとデリラ』で久しぶりに二期会オペラに戻ってきてくれました。
そして、今回のクリングゾル。本番に向けて話を聞きました。

――クリングゾルはどのような人物、役柄でしょうか?

門間: 今回が初役です。クリングゾルは、聖杯騎士団から破門されてしまったことで、ただ彼らに復讐がしたい。それだけを原動力として生きている人間、というか、魔法使いです。アムフォルタスから聖槍を奪いますが、でも、聖杯までも奪いたいとか、騎士団にもう一度入りたいとか、ではなくて、ただただ、聖杯騎士を官能的な欲望で惑わし、陥れ、復讐をし続けるという。このオペラの「悪役」です。自分は、あんまり悪役やらないんですけど(笑)
今回の舞台でも、セクハラ、パワハラ上司のような、乱暴な性格を持った人物として描かれているように思います。自分は穏やかな生活を送りたいと思っているのですが(笑)
でも、自分とは違うキャラクターだけに、演じるのが楽しいと思えるのかもしれません。楽しみたいと思います!

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2012年5月 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『スペイン時間』より ラミーロ役(右から2番目)

――これまでになかったクリングゾルが生まれそうですね。それでは、クリングゾル役の見どころ、聴きどころを教えてください。

門間: ワーグナーの音楽って、全篇にわたって絶対的なカッコよさがあると思っています!だから、聴きどころは?と聞かれると難しいのですけれど・・・・・・。
『パルジファル』は「苦悩」が大きなテーマのひとつといえますが、クリングゾルもまた苦悩しているのだと思います。屈折したものを抱え込んでいます。
最後のシーンで、クリングゾルはパルジファルにむかって槍を投げつけるのですが、槍はパルジファルに奪われ、彼を殺すことはできなかった。クリングゾルは失敗してしまうんですけれども、その瞬間、D-dur(ニ長調)の和音がパーッと高らかに鳴るんです。・・・これは、あくまで個人的な解釈なんですけれど、自分(クリングゾル)もパルジファルに救済されたのかな、って思うんですよね。ずっと復讐を胸にして、屈折して、苦悩をもって…この人生がずっと続いていくのかな、という存在の仕方でいると、パルジファルに救済されたかのような音楽に思えるんです。クリングゾルも、パルジファルが解放してくれたのかな・・・・・・聴きどころの答えになっているかどうか、わかりませんが。

クリングゾルって、バーン!と怒った後に、すぐ「ハハ!」と笑ってごまかしてみたり、そうした細かい描写に至るまで、「魔法使い」ということで人間じゃない存在として描かれているにもかかわらず、自分は、一番人間的に感じています。

――悪役というところから話が始まりましたけど、結局は「人間」なんじゃないかと。

門間: そうそう。人間が、他人に隠したいところを全部内面に同居させたキャラクターが、クリングゾルなんじゃないかな、と思うとことがありますね。

――門間さんらしい、繊細な役作りの一端を話していただけたように思います。そんな門間さんは今年が二期会デビュー10周年。『スペイン時間』で出演したときの自身を思い出すと?

門間: 『懐かしいですね。10年ですか。恐ろしいですね(笑)
あの頃は、自分が精いっぱい、学ぶことが精いっぱいで、学んだことを稽古場で、そして舞台上で「どう出すか」ということに一生懸命でした。今は、むしろ、いろいろな方からいろいろなことを「吸収したい」という想いが強いですね。二期会ニューウェーブ・オペラ劇場は、若い同世代が集まって創り上げる現場だったので、刺激的でありましたが、今回のような東京二期会オペラ劇場の現場は、第一線の方からいろいろな歌手の方がいらっしゃるので、やはり、そうした人から「吸収」したいという想いになりますね。

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2021年1月 東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ『サムソンとデリラ』より ダゴンの大司祭役

――ニューヨークに活動拠点を移して、コロナ禍前までは長く日本とニューヨークをまたぐ活躍をしてきました。ニューヨークの音楽的な魅力を教えてください。

門間: オペラがすぐ聴ける街なんですよ!自分はメトロポリタン歌劇場のある沿線に住んでいたので、稽古が終わったら今夜は『トゥーランドット』観に行けるな、といって電車に乗って当日券を買ったり。タイムズスクエアにはオペラの広告や情報で溢れていて、オペラが街に溶け込んでいる印象がありました。
若い人たちのグループで、安い席でも、イブニングドレスを着て、大人の仲間入りのように観に来ていたり、オペラを観に行くというのが、人それぞれの生活の一部になっている街。 クラシック音楽を聴くことが、自分を高めるひとつのステータスで、知性のあらわれというイメージもありますね。誰もが、自分のアップルミュージックに、好きなクラシック音楽がひとつやふたつ入っているというような。

――そのようなシーン、日本でも実現できるようにしたいですね!最後に『パルジファル』本番に向けて意気込みを。

門間: 大好きなワーグナーに初めて出演することになり、譜読みもじっくりやりました。とにかく音楽が絶対的にかっこいいんです!だから、かっこいいクリングゾルを歌いたい。クリングゾルは暴力的で、嫌な奴ではあるんですけど、観ている方が、何かしら、彼の「悪」に共感していただき、心の奥の部分で通じあえるようなクリングゾルを演じ、歌えたらと思っています。

*     *     *


▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年7月13日(水)17:00*、14日(木)14:00、16日(土)14:00*、17日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
*…クリングゾル 門間信樹 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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NIKIKAI Days@Blue Rose 2022(二期会デイズ)~第1日、第3日は、二期会の過去から現在、未来へと続くコンサート

NIKIKAI Days@Blue Rose 2022(二期会デイズ)の「東京二期会物語」は第1日と第3日に開催します。

コンサートは、セリフ劇、インタビュー、歌唱ありのストーリー仕立てで進んでいきます。第1日、第3日のどちらかだけでも楽しめるコンサートになっていますが、両日ご覧になれば、より一層「二期会」を知ることができます。
日本のオペラ界を牽引してきた「二期会」の創立から今に至るまでのストーリー、「東京二期会物語」の詳しい内容をご紹介します。

◆「二期会」が誕生するきっかけは温泉旅館での会話から
1952年、オペラ歌手として当時第一線で活躍していた若き声楽家、中山悌一、柴田睦陸、川崎靜子、三宅春惠の4名は30代前半で声楽界の四天王と呼ばれていました。その中の柴田と中山が演奏旅行で訪れたとある温泉旅館で、風呂上がりの一杯を楽しみながら話していたときの「我々で、新しいオペラ団体を作らないか?」の一言がきっかけとなり、「二期会」が誕生しました。
この誕生秘話のセリフ劇を、三宅春惠役 種谷典子、川崎靜子役 成田伊美、柴田睦陸役 山本耕平、中山悌一役 加耒徹が演じ、また他のシーンでも登場して歌も披露します。

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リハーサルの様子から  大倉由紀枝(左)、種谷典子



◆ストーリーの流れに沿ったセリフ劇、インタビュー、歌唱が楽しめる
第1日、第3日とも二期会を創設した4名の出会いとオペラ団体を作るまでを再現するセリフ劇でスタート。その後、高田正人のナビゲートでストーリーは動き出し、70年の中で転機となったシーンをセリフ劇で再現。オペラの名曲の数々の間に、4人の芝居シーンが挿まれます。背景には荒井雄貴氏によるステージ背面への映像投影があり、ストーリーを盛り上げていきます。

第1日は、創設者4名を知る二期会の名歌手たちに、創設当時の出来事や4名のことをインタビュー形式で語り、思い出に浸りながら歌う姿は感動を呼ぶでしょう。
次に、第3日は、若手歌手たちが二期会の歴史を未来へと繋げる形で、現在の二期会の在り方や未来へ向けて、進化し続けるためのメッセージをオペラ曲に託して歌います。

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リハーサルの様子から
左から 山田武彦(ピアノ)、福井 敬、大倉由紀枝、全 詠玉、大島幾雄



◆選曲は過去・現在・未来へと時代を繋ぐ歌の架け橋
第1日の「青碧(せいへき)の時代」の曲目は、産声を上げたばかりの二期会の夢や志に相応しい記念すべき第1回公演『ラ・ボエーム』から四重唱を福井敬、大島幾雄、大倉由紀枝、全詠玉の歌唱から始まります。次に第2回公演『オテロ』の二重唱を成田勝美、大島幾雄の歌唱が続き、さらに二期会上演回数や日本初演などのオペラの名曲を、佐々木典子、成田勝美らを含め、他では見られない夢の共演が実現しました。
第3日の「天色(あまいろ)の時代」は、「二期会にゆかりのある演目コーナー」「新旧日本語コーナー」「人生いろいろコーナー」「歌曲のコーナー」「未来へコーナー」の5項目に分けて曲目を選定。
坂井田真実子、嘉目真木子、彌勒忠史、樋口達哉、宮本益光、三戸大久とゲストに伊原直子さんを迎えてオペラの名曲を歌います。

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リハーサルの様子から 大島幾雄(左)、成田勝美



◆高田正人からのメッセージ
「二期会」が70周年を迎えます。
全てが灰となった第二次大戦からたったの7年で、新しいオペラ団体を立ち上げたそのエネルギーと志は、現在の二期会にも大きな血脈となって受け継がれているのだと思います。
現在では当時のことを知る人は少なくなりましたが、大先輩方への取材や、当時の資料などから、その当時の空気を再現し、二期会のイズムを、名歌手、名曲たちとお送りするコンサートを作りました。
二期会をいつも支えてくださっているお客様はもちろん、二期会の若い歌手や、二期会を知らない人にも是非見て頂きたいコンサートになったと思いますので、是非お運びください!

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ナビゲーターの高田正人(手前左)と、創立メンバー役の4人
前列左から 柴田睦陸役 山本耕平、中山悌一役 加耒 徹、
三宅春惠役 種谷典子、川崎靜子役 成田伊美



days2022_1_thumb.jpg PDFちらし■■■ 公演情報 ■■■
NIKIKAI Days@Blue Rose 2022
「東京二期会物語」

構成・台本・ナビゲーター:高田正人/アドヴァイザー:高 丈二

●第1日《青碧(せいへき)の時代》
日時:2022年6月24日(金) 19:00開演(18:30開場)
出演:
   三宅春惠役:種谷典子(ソプラノ)
   川崎靜子役:成田伊美(メゾソプラノ)
   柴田睦陸役:山本耕平(テノール)
   中山悌一役:加耒 徹(バリトン)
   (ソプラノ)大倉由紀枝、佐々木典子、全 詠玉
   (テノール)成田勝美、福井 敬
   (バリトン)大島幾雄
   (ピアノ)山田武彦

●第3日《天色(あまいろ)の時代》
日時:2022年6月26日(日) 14:00開演(13:30開場)
出演:
   ゲスト:伊原直子
   三宅春惠役:種谷典子(ソプラノ)
   川崎靜子役:成田伊美(メゾソプラノ)
   柴田睦陸役:山本耕平(テノール)
   中山悌一役:加耒 徹(バリトン)
   (ソプラノ)坂井田真実子、嘉目真木子
   (カウンターテナー)彌勒忠史
   (テノール)樋口達哉
   (バリトン)宮本益光
   (バスバリトン)三戸大久
   (ピアノ)山岸茂人
会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール) 【アクセス
  ・地下鉄南北線「六本木一丁目駅」3番出口 改札より徒歩約5分
  ・地下鉄銀座線「溜池山王駅」13番出口 改札より徒歩約7分

料金:《各1回券》全席指定 プレミアム席〈完売〉、普通席5,000円(税込)
    二期会オペラ愛好会会員割引あり

※やむを得ぬ事情により出演者・内容が一部変更になる場合がございます。

▼演奏予定曲等、公演詳細ページはこちら
NIKIKAI Days@Blue Rose 2022 - 主催・制作コンサート - 二期会21

●ご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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7月公演 ワーグナー『パルジファル』~グルネマンツ役 山下浩司インタビュー「ワーグナーの‘生音’に触れてください!」

二期会創立70周年記念公演、ワーグナー『パルジファル』キャスト・インタビュー。今回はグルネマンツ役の山下浩司です。その、知的で、かつあたたかみのある低声に魅了される方も多いのではないでしょうか?
『魔笛』パパゲーノ、『フィガロの結婚』タイトルロールなどでモーツァルト歌手として高く評価されている中、2012年二期会創立60周年記念公演でグルネマンツを担い、貫禄ある歌唱で新境地を拓きました。その後さらにニューヨークで研鑽を積み、帰国後にはシューベルト「美しき水車小屋の娘」の全曲演奏で深化をみせていた山下。10年ぶりのグルネマンツとは、「感動の再会」であったようです。本番に向けて話を聞きました。

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2011年4月 東京二期会オペラ劇場『フィガロの結婚』より フィガロ役

――『魔笛』パパゲーノ、『フィガロの結婚』フィガロなどを演じてきて、10年前東京二期会『パルジファル』公演にグルネマンツ役で出演しました。その時のエピソードを教えてください。

山下: バッハ、モーツァルト、ワーグナー、この3人の作曲家は神懸かっていると常々思っています。
彼らの音楽を演奏する際は、作品に畏敬の念を持ち、自我を抑え、その神懸かった音楽に身を委ねることを心がけています。
そういった意味では受難曲のイエス、フィガロやパパゲーノとグルネマンツは変わりありません。ただしグルネマンツの台詞の量は圧倒的に多い。私が知っているバリトン、バス系の役ではダントツだと思います。
2012年はワーグナーを敬愛し、熟知されている飯守先生の棒の下、現在でも世界で上演されているグート演出の舞台に立てたのは幸運でした。
オーディションは大きな台風の日だったことを思い出します。その時は課題曲を準備するだけで必死でしたが、役をいただき、譜面を細部まで読み進めていくうちに震えるような感動が押し寄せてきました。ワーグナーの魅力に取り憑かれた瞬間でもありました。
今回10年ぶりに楽譜を開くと(すっかり音符を忘れていたということもありますが...)同じ感動の波が襲ってきて、「あ~~~~~!やっぱり凄い曲!」と1人で騒ぎながら再勉強しました。

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2012年9月 東京二期会オペラ劇場『パルジファル』(C.グート演出)より グルネマンツ役

――グルネマンツはどのような人物でしょうか。

山下: 一言で言うと変に真面目で、信仰心の厚い中間管理職でしょうか。誰かに一言尋ねられると、空気も読まず、サイドストーリーも含め長々と丁寧に説明する、そして愚痴も多い(笑)。きっと幼少期から信仰についての教育を徹底的に叩き込まれ、成功や失敗を重ね、それらを後進に伝えていくことへの義務感が強い。自然や人間への愛情も深い人だと思います。

――なんだか、日本人にも好まれそうな人物ですね。それでは、歌う分量が多いグルネマンツの見どころ、聴きどころを教えてください!

山下: その質問は困りますね…グルネマンツの、というよりも、『パルジファル』は見どころ、聴きどころが最初の1音から最後の和音まで、じわりじわりと4時間以上続くのです。

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2016年11月 東京二期会オペラ劇場『ナクソス島のアリアドネ』より 音楽教師役(左端)

――なるほど!一度耳にしたら離れることのできない、魅力というよりも魔力に近いワーグナーの音楽ですね。でも、あまりにも壮大で奥深いワーグナーの世界ですが、初めてワーグナー作品に触れたいと思われている方に、親しみやすくなるために何かアドバイスをいただけるでしょうか。

山下: 『ローエングリン』の「結婚行進曲」や『ワルキュー』の「ワルキューレの騎行」、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の第1幕への前奏曲など、誰でも一度は聴いたことがあり、すでに親しまれているように思いますが、これらを劇場で生音で聴いたら「ハマる」人は増えるでしょうね。『パルジファル』ではそれらに匹敵する前奏曲、1幕舞台転換の音楽や、2幕花の乙女たちの重唱、3幕聖金曜日の音楽があります。これらをセヴァスティアン・ヴァイグレさん指揮の読売日本交響楽団で聴ける。それだけでもワクワクするのに、演出は宮本亞門さん。もう堪らないです!まずは一度、生で音の「うねり」を体感していただけたら、沼への第一歩になるのではないでしょうか。逆に2度と沼に近づかない人も出るかも知れませんが……。

――最後に、本公演に向けまして、ファンの皆様にメッセージをお願いいたします。

山下: 何しろ「生音!」です。劇場にお運びくださる皆様、演者、スタッフと共に、このオペラの最後の和音を聴きたいです。また、グルネマンツは2幕以外ほとんど舞台上にいるので、応援していただけたら嬉しいです。

*     *     *


▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年7月13日(水)17:00、14日(木)14:00*、16日(土)14:00、17日(日)14:00* 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
*…グルネマンツ 山下浩司 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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NIKIKAI Days@Blue Rose 2022(二期会デイズ) 第2日は「オペラ研修所」で一緒に学び、時を刻んだ同期が集結!~予定プログラム詳細

NIKIKAI Days@Blue Rose 2022の第2日「名作オペラの重唱で綴る愛のかたち」は、文化庁の委託により1976年から22年間、二期会に設置されていた「オペラ研修所」の最後となる第11期生がこの機に集まり、「歌う」ことのすばらしさを分かち合い、「歌う」ことができる“感謝の気持ち”を込めて声を合わせて共に歌います。

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公演に向け、全員揃って
(左から)針生美智子、山本佳代、森 朱美、手嶋眞佐子、小貫岩夫、甲斐栄次郎、安藤常光
(手前)山口佳代



このたび、予定プログラム詳細が決定いたしましたので、ご案内いたします。
国内外それぞれの場で活躍を続ける、オペラ研修所第11期生の今の歌声をどうぞお聴きください。
尚、チケットは既に予定販売数に達したため、発売を終了いたしております。あらかじめご了承ください。

days2022_2_thumb.jpg PDFちらし■■■ 公演情報 ■■■
NIKIKAI Days@Blue Rose 2022 第2日
「名作オペラの重唱で綴る愛のかたち」 ~時を超え 今 声を合わせ~

日時:2022年6月25日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール) 【アクセス
  ・地下鉄南北線「六本木一丁目駅」3番出口 改札より徒歩約5分
  ・地下鉄銀座線「溜池山王駅」13番出口 改札より徒歩約7分
出演:
   (ソプラノ)針生美智子、森 朱美、山本佳代
   (メゾソプラノ)手嶋眞佐子
   (テノール)小貫岩夫
   (バリトン)安藤常光、甲斐栄次郎
   (ピアノ)山口佳代

〈予定プログラム〉
<第1部>
・ヴィヴァルディ 「グローリア」より 「我ら御身を讃え」(ソプラノ二重唱) 針生、森
・モーツァルト 歌劇『皇帝ティートの慈悲』第1幕より
   二重唱「許してください、これまでの愛に免じて」(セルヴィーリア、アンニオ) 森、手嶋
・ビゼー 歌劇『真珠採り』第1幕より
   二重唱「神殿の奥深く」(ナディール、ズルガ) 小貫、安藤
・ヴェルディ 歌劇『椿姫』第2幕より
   シェーナと二重唱「ヴァレリー嬢ですか?」
     ~「天使のように清らかな娘が」(ヴィオレッタ、ジェルモン) 針生、甲斐
・プッチーニ 歌劇『蝶々夫人』より
   花の二重唱「あの桜の枝をゆすって」(蝶々夫人、スズキ)山本、手嶋
<第2部>
・ヴェルディ 歌劇『ファルスタッフ』第1幕第2部より
   「アリーチェ メグ ナンネッタ」(アリーチェ、ナンネッタ、メグ、クイックリー) 針生、山本、森、手嶋
・ドニゼッティ 歌劇『ラ・ファヴォリータ』(イタリア語版)第4幕より
   フィナーレ「我が姉上よ!…」
     ~「神のように慈悲深いあなた」(レオノーラ、フェルナンド) 手嶋、小貫
・ヴェルディ 歌劇『シモン・ボッカネグラ』第1幕より
   シェーナと二重唱「あなたはアメーリア・グリマルディなのか?」
     ~「孤児の私は貧しい女の家で育ちました」(アメーリア、シモン) 山本、安藤
・マスネ 歌劇『マノン』第3幕第2場より
   二重唱「あなたでしたか!~そうよ、私よ!」(マノン、デ・グリュー) 森、小貫

※やむを得ぬ事情により出演者・演奏内容が一部変更になる場合がございます。

▼公演情報ページはこちら
NIKIKAI Days@Blue Rose 2022 - 主催・制作コンサート - 二期会21

《チケットはおかげさまで予定販売数に達したため、発売を終了いたしました》

●公演に関するお問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

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7月公演 ワーグナー『パルジファル』~グルネマンツ役 加藤宏隆インタビュー「グルネマンツはこのオペラの語り部。気持ちを注いで、正確に、歌いたい」

二期会創立70周年記念公演、ワーグナー『パルジファル』キャスト・インタビュー。今回はグルネマンツ役の加藤宏隆です。
2014年『ドン・カルロ』の宗教裁判長で二期会デビューを飾り、その後も『魔弾の射手』カスパール、『後宮からの逃走』オスミンなど重厚な役を担いきってきたバス・バリトンのホープ。そのシュアな歌唱力で、バッハ・コレギウム・ジャパンとの共演など宗教曲のソリストとしても高い評価を受け続けています。

グルネマンツは、この物語のいわば「語り部」。聖杯騎士の中でも長いキャリアを持ったリーダー的な存在です。それだけに歌唱部分も多くて長く、グルネマンツが長セリフを決めてくれなければ、ドラマ自体に影響が出てしまうほど。加藤にとっても、大きな挑戦となる舞台です。本番に向けて話を聞きました。

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2014年2月 東京二期会オペラ劇場『ドン・カルロ』より 宗教裁判長役(左/撮影:三枝近志)

――グルネマンツはどのような人物でしょうか。

加藤: 常識の枠を決して離れることのない、一般的な意味での非常に立派な人だと思います。常に自分が属するコミュニティの行く末を心配している、いわば模範的な常識人。しかしそれ故、少々頑固な所もあり、部外者には冷たい時もあり、人間的な面白みのある人かと言われるとそうでは無いような気がします。そういった意味では残念ながらグルネマンツは世界を変えるヒーロー、救世主のような存在にはならない人です。なぜならそのような人たちは歴史上、常に常識の枠の外にいるからです。ただグルネマンツのような人物は、どのコミュニティにおいても必要とされる人物だと思っています。コミュニティの変遷をとてもよく知る頼りになる人。誤解を恐れずに言うと、頼まれてもいないのに地域のために何かしてくれようとする世話役のような人物だと思います。

――グルネマンツの見どころ、聴きどころを教えてください。

加藤: この長大な作品、グルネマンツは2幕以外ほぼ舞台上に居るので、まずは私のスタミナが最後まで持つかどうかに注目してください(笑)!!
全体的には語り部的な性質上、言葉の発音をとくに重視したいと思っています。1幕でグルネマンツが長々とこれまでのモンサルヴァートの変遷を語るくだり。ここは一言でも欠けたら、オペラ全体を構成する内容理解を妨げる結果となってしまいます。気持ちを注いで正確に歌いたいと思っています。ワーグナーは、明瞭な歌詞の発音による明確な言語表現を歌手に求めていたと言われています。今回私はこれを重要なキーワードに定めてグルネマンツを作りあげたいと思っていますので、その辺り注目していただけると嬉しいです。

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2018年11月 東京二期会オペラ劇場『後宮からの逃走』より オスミン役(中央/撮影:三枝近志)

――加藤さんは、声種柄、実際の年齢より年配の役をされることが多いと思いますが、そのために「役作り」として難しさを感じられたことはありますか?またどのようなアプローチをしていますか。

加藤: 自分が経験したことがない人物を演じるにあたり、いかにそれらしく見せるのかは難しいです。私は留学中、演じるキャラクターが今まさに感じている感情や、その場の空気感、匂いや触感、痛みなど、とにかく全感覚をリアルにイメージし、それを体の動きに移していくという方法で演技を学びました。自分のこれまでの人生の経験からそれらの感覚を引っ張り出してくるのですが、自分が体験したことがないものに関しては、それに似た感覚を探してくるわけです。例えば、腰の曲がったおじいさんを演じるのであれば、自分が腰痛で苦しんだ時の感覚を思い出して演技に活かしたり、加齢により耳が遠くなった人を演じるのであれば、大音量の音楽が流れている中で会話したときの事を思い出しながら演技するとか、そんな感じで作っていきます。もちろんオペラですので、舞台での見え方や、声を飛ばすのに最適な角度なども意識しながら身体の姿勢を決めていきます。今でもそのような形で役作りをしています。
ただし、声に関しては、わざと年寄りっぽい声を出したりとか、そういうことは一切しません。正しいフォームで、自分のナチュラルな声を出すことが最優先です。声のカラーやトーンで表現を深めることはもちろんしますが、いわゆる“作り声“で歌っては絶対にダメだと思っています。それをやってしまうと、音程も悪くなるし、声もとたんに飛ばなくなるし、声の寿命を縮めることにもつながります。自分の声が役柄よりも若く聞こえてしまっても、それは素直に諦めて役柄と自分の実年齢が合ってくるのを気長に待つべきだと思っています。

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2018年7月 東京二期会オペラ劇場『魔弾の射手』より カスパール役(撮影:三枝近志)

――最後に、本公演に向けまして、ファンの皆様にメッセージをお願いいたします。

加藤: 今回のパルジファルが私にとって初のワーグナーとなります。ワーグナー経験豊富な皆様に囲まれての稽古はとても楽しみです。ぜひご来場いただけましたら幸いです。

*     *     *


▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年7月13日(水)17:00*、14日(木)14:00、16日(土)14:00*、17日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
*…グルネマンツ 加藤宏隆 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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ソプラノ幸田浩子が歌唱を担当した映画『太陽とボレロ』、本日公開!

本日、6月3日(金)公開の水谷豊監督・脚本の映画『太陽とボレロ』で、ソプラノの幸田浩子が歌唱提供致しました。

音楽ご担当の山元淑稀氏が、今回の楽曲にイメージする声を探して幸田に行き着いた今回。終盤の重要な場面で流れる書き下ろしのヴォカリーズを担当させて頂いております。
収録時は水谷監督自らが立ち会われ、山元氏のご指導のもと行われました。

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(写真左から)水谷豊監督、幸田浩子、山元淑稀氏

全編音楽で彩られたハートフルな作品に、試写を鑑賞した幸田もただただ感動。
是非、多くの方にご覧頂いたい作品です!

▼映画『太陽とボレロ』公式サイトはこちら
映画『太陽とボレロ』公式サイト

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開催迫る! 待望の「樋口達哉のオペラ『道化師』」

待ちに待った「樋口達哉のオペラ『道化師』」が、6月1日(水)18時から紀尾井ホールにて開催されます。
樋口の30年来の思い、さらにコロナ感染拡大のため、2度の延期を乗り越えて『道化師』が今、幕を開けます。

第一部にデザイナーのコシノジュンコさん、タレントの山田邦子さん、コンサート・ソムリエの朝岡聡さん、演出家の岩田達宗さんによる「スペシャル・トーク」では、『道化師』にまつわる話など、4人のトークをお楽しみいただきます。その後にご覧いただくオペラ『道化師』の芝居と現実の狭間の物語は、上演時間80分の短いオペラとは思えないほど夢中にさせ、迫力ある演技と歌唱に魅せられるでしょう。

5月27日現在、チケットはおかげさまで予定販売数に達したため発売を終了しております。尚、2020年10月と2022年1月のチケットお持ちのお客様はお振替なくご入場いただけますので、チケットをお忘れなくお持ちください。ご来場をお待ちしております。

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カニオを演じる樋口達哉

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白熱した稽古の後に、開催に向けての意気込みを全員で表現しました

■■■ 公演情報 ■■■
「樋口達哉のオペラ」
オペラ 道化師/R.Leoncavallo

日時:2022年6月1日(水) 18:00開演(17:30開場)
会場:紀尾井ホール 【アクセス
  ・JR線「四ツ谷駅」麹町口より 徒歩約6分
  ・地下鉄丸ノ内線・南北線「四ツ谷駅」1番出口(赤坂口)より 徒歩約7分
料金:全席指定 【予定販売数終了】
   SS席12,000円、S席10,000円、A席6,000円、学生席3,000円 (税込)

〈プログラム・出演〉
<第1部> スペシャル・トーク
コシノジュンコ(デザイナー)、山田邦子(タレント)、
朝岡 聡(コンサート・ソムリエ)、岩田達宗(演出家)

<第2部> R.レオンカヴァッロ作曲 オペラ『道化師』全2幕(19:00頃開始予定)
カニオ 樋口達哉(テノール)
ネッダ 佐藤美枝子(ソプラノ)
トニオ 豊嶋祐壹(バリトン)
シルヴィオ 成田博之(バリトン)
ペッペ 高田正人(テノール)
指揮:佐藤正浩
演出:岩田達宗
管弦楽:ザ・オペラバンド・アンサンブル
合唱:ザ・オペラバンド・シンガーズ

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ちらし(PDF)ダウンロード


▼公演情報ページはこちら
「樋口達哉のオペラ」オペラ 道化師/R.Leoncavallo - 主催・制作コンサート - 二期会21

●お問合せ 《予定販売数終了》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

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7月公演 ワーグナー『パルジファル』~クリングゾル役 友清 崇インタビュー「ワーグナー愛が10年熟成した今、経験したことを更なるキャリアの高みへと繋げていきたい」

二期会創立70周年記念公演ワーグナー『パルジファル』キャスト・インタビュー。今回はクリングゾル役の友清 崇です。
多くのドイツオペラで活躍し、東京二期会では『魔笛』パパゲーノ、『サロメ』ヨカナーンを好演。最近も『ローエングリン』『フィデリオ』『タンホイザー』と続けて出演を重ねてきました。クリングゾル役は2012年二期会創立60周年記念公演で初役を果たしたほか、今年3月にはびわ湖ホールにて同役を歌い好評を博しました。
クリングゾルは悪魔と契約をした魔法使い。クンドリの心を操り、モンサルヴァートの王アムフォルタスから聖槍を奪った上に傷を負わせます。しかし、救世主としてあらわれたパルジファルに対し、その聖槍を投げると…
『パルジファル』は聖杯騎士団から語られるストーリーのため、ダークサイドに陥ったクリングゾルは悪役として描かれることが多いです。しかし、この役と向き合ってきた友清の話からは、そのように単純化されるキャラクターではない、愛憎混濁する複雑な内面を持った人物像が浮かびあがってきました。
公演に向けての話をどうぞ。

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2010年9月 東京二期会オペラ劇場『魔笛』(実相寺昭雄演出)より パパゲーノ役

――クリングゾルは、2012年の二期会創立60周年に続いて、今年は3月にびわ湖ホールの舞台に立ちました。

友清: 初めてワーグナーのオペラでキャスティングしていただいたのが10年前の『パルジファル』公演でのクリングゾルでした。翌々年、新国立劇場のシーズンオープニング公演では本役の外国人歌手が喉の調子を崩しゲネプロ降板になり、代役で舞台にあがりました。しかし、その後、新国立劇場、びわ湖ホールオペラ公演においてはカヴァーが続いていました。ですから、今回の公演オーディションで幸運にも出演のチャンスを得ることができて、とても嬉しいです。今春、クリングゾルでびわ湖ホールにオペラデビューさせていただきました。演奏会形式でしたので歌唱のみに集中でき、音楽の真髄に迫る挑戦ができました。

――クリングゾルの人物像、役柄、見どころ、聴きどころを教えてください。

友清: クリングゾルには2幕冒頭の前奏に奏でられる「Ungebändigten Sehnens Pein (抑えきれない欲望の苦しみ)」になぞられるライトモチーフ(示導動機)があります。
彼の人物像についてはその言葉に全て集約されています。
かつて、クリングゾルは聖杯の騎士団に入る為、懸命になっていました。騎士としてふさわしくなるべく、彼は一心不乱に猛勉強しました。入団には「純潔な者だけが許される」という条件があり、彼は若い男性なら必然的に持つだろう性への欲望を抑え切ることに苦しみ、ついに彼は肉体を犠牲、泌尿器を切断してしまいます。想像を絶する行為です。しかし、そうせざるを得無かったのです。彼は自分の制御不能な本能に本気で向き合い、決断したのです。
彼は突如笑い出したり、叫び声をあげる「情動調節障害」を患っています。歌詞の中に幾度となく「Ha!」と叫んでいるのがそれを証明しています。これは映画「ジョーカー」の主人公アーサー・フレックと同じ症状です。幼少時代に受けた虐待は脳外傷にまでおよぶ程。おそらくクリングゾルも同じような境遇だった可能性もあります。どんなに不幸で肉体的にも精神的にも酷く傷ついていても、彼は死にません。彼に備わった生命力は強靭だったのです。絶望的な境遇から見つめる聖盃騎士団の城「モンサルヴァート」はクリングゾルにとって憧れであり、救いであり、生きる望みだったに違いありません。このような観点から鑑みて、クリングゾルがティトゥレルによって入団を拒まれてしまったことは、彼にとって全てが崩壊してしまったことになります。
絶望に打ちひしがれながらクリングゾルは行く宛もなく山中をさまよい歩き、ついに肉体と精神が限界に達し地面に倒れてしまいます。そこは「モンサルヴァート」の領域で同じ山地のアラビア的スペインに向かっている南麓でした。倒れて動けなくなり、死を待つばかりのクリングゾルでしたが、彼の中に宿る強靭な生命力、憎悪、怨念の増幅が新たな生命力となって芽生え、更に魔法の力を得たのです。その魔力は絶大で、荒れ地だったその場所に魔法の城を築き上げました。
その後の彼の行動は、オペラのストーリーの通りです。
クリングゾルのスピンオフ作品が作れそうです。

クリングゾルの聴きどころについて、冒頭に「Die Zeit ist da,(その時が来た)」静寂の中、語るかのように歌います。ここの歌い方は十人十色。腑に落ちた歌い方を確立していないと、初っ端から不安になるばかりです。
次に、第1幕で何度か歌われる「Durch Mitleid wissend der reine Tor. (共苦により智を得たる純粋な愚か者)」のメロディーに、クリングゾルは替え歌で「今日は最も危険な奴を打ち負かさないとならん、奴は愚かさを盾にしているし」と歌うシーンです。この状況に及んでも、「モンサルヴァート城」で歌われているメロディーを今だに口ずさむクリングゾルって泣けてきませんか? かつて聖盃の騎士になる為の猛勉強がいまだ根強く残っているのです。「憧れ」は完全には消し切れないのです。聖なる者達を全員罠に陥れ、「聖盃を手中に収めるのだ!」と叫ぶシーンは、『ジークフリート』の第2幕でアルベリヒが「この手に指環を握り世界を支配するのは俺だ!」叫ぶシチュエーションと同じです。嘆きの叫びを聴いて下さい。

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2011年2月 東京二期会オペラ劇場『サロメ』(ペーター・コンヴィチュニー演出)より ヨカナーン役

すみません、もうひとつ!
クリングゾルは、パルジファルがそこまで来たのを見ると、異常に興奮し始めます。自軍の兵たちが次々にパルジファルにやっつけられていく様子を見て、ますます興奮します。まるで格闘技を観戦しているかのように。「Bleibst mir du zugewiesen! (俺のもとに居ろ、お前に見せつけてやる!)」クリングゾルがまるで歌舞伎役者のような大見得を切って退場するシーンは見どころです。
いったい何を見せつけてやるのか?彼は根っからの悪ではありません。彼の中にも「美」が存在していたのです。その表れが、彼が去った後に登場するクリングゾルの花の乙女達です。美しい乙女達、美しい庭園を創造したのはクリングゾルです。何よりもこの場面を支配するのはクリングゾルが創造した音楽です。『タンホイザー』ヴェーヌスベルクの官能の音楽とはまた違い、美女達に見入ってしまい、聴き入ってしまいます。

見どころについては、2幕の最後にクリングゾルが突き刺す聖なる槍を、どのようにパルジファルが奪うかです。これまでの数ある演出において、色んなアイデアが披露されてきたので注目するところです。特に手の込んだ仕掛けがある演出では、まさに魔法です。

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2012年9月 東京二期会オペラ劇場『パルジファル』(クラウス・グート演出)より クリングゾル役

――『パルジファル』の話を聞いていたのですが、スピンオフ・オペラ『クリングゾル』も、ぜひ観たくなりました!それだけ深いコンテクストを持った複雑な役だったのですね。さて、ドイツオペラでは欠かせない存在の友清さんですが、パパゲーノのようなコミカルな役から、ヨカナーンのような重厚で高潔な役もあり、今回のようなヒール役もあって、その役柄の広さは一概にひとくくりにはできそうにありません。役作りや歌作りはどのように取り組んでいるのでしょうか?

友清: 私がこれまでドイツオペラを中心に出演を続けられているのは、学生時代に師事した二人のバリトンの先生の指導のおかげです。歌曲から始まり、学年を重ねるにつれオペラ作品にも取り込み、発音指導をはじめ徹底した指導が今の私の礎になっています。またこの二人の先生はバリトンの中でも声質が異なっており、オペラで演じられていた役柄はコミカルなもの、そして重厚なものでありました。そのような学びの環境で育まれた経験が私の役作り、歌作りになっています。

――ちなみに、どのキャラクターを演じるのが、ご自身で一番お好きですか?

友清: 「悪役です。」という答えを期待しているのでしょうが、『パルジファル』の中では、正直言って「アムフォルタス」ですよ。でも、私にとっての「抑えきれない憧れへの苦しみ」が「クリングゾル」の本質に近づくことができるのだと思っています。

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2020年9月 東京二期会オペラ劇場『フィデリオ』(深作健太演出)より ドン・ピツァロ役

――それでは、最後にワーグナーの魅力と、ファンの皆様に向けて意気込みとメッセージをお願いいたします。

友清: 私にとってオペラを歌う原動力はワーグナーオペラへの憧れです。ワーグナーの魅力は、言語と音楽の融合、そして何よりもワーグナーの世界を表現する「歌唱力」です。

私の「意気込み」は役への「息込み」、つまり「役に生きる」ことです。「居て、捨てて、語る」という言葉を、演出家浅利慶太氏より学びました。役の人物に居る、自分を捨てる、その上で語る(歌う)。役作りにおいて究極の奥義です。
歌の師匠からもですが、これまでの人生経験の中で、幾多の金言に遭遇できたことは私にとって宝です。
今回も著名な宮本亞門氏の演出において、彼からどのようなインスピレーションを与えられ「クリングゾル」をどう生きていくか、とても楽しみです。
この10年間で、カヴァーもふくめてバイロイトで上演されるワーグナー主要10作品全てに関わることができました。私の中で、ワーグナー愛が10年熟成した今、経験したことを更なるキャリアの高みへと繋げていきたいです。

*     *     *


▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年7月13日(水)17:00、14日(木)14:00*、16日(土)14:00、17日(日)14:00* 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
*…クリングゾル 友清 崇 出演日

▼9月18日開催!「清水勇磨バリトンリサイタル」の公演情報ページはこちら
五島記念文化賞 オペラ新人賞研修帰国記念「清水勇磨 バリトンリサイタル」 - 株式会社 二期会21
2022年9月18日(日)14:00 東京文化会館 小ホール

●両公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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2022年度 Hakuju Hall「二期会ディーヴァ,ディーヴォ」~6名の出演者、予定曲目が発表されました!

Hakuju Hall主催の若手歌手によるコンサートシリーズ「二期会ディーヴァ,ディーヴォ」。 これまで9年、24回にわたって、二期会オペラ研修所を優秀な成績で修了した多くの若きオペラ歌手が出演し、大変ご好評いただいてまいりました。また、本シリーズは2018年度から若手歌手の魅力をさらにお楽しみいただけるよう、内容をパワーアップしてお届けしております。
華やかなオペラの大舞台に羽ばたいていく未来のスター歌手たちによるコンサート。「新しい声」のデビューの瞬間、是非お聴き逃しなく!

チケットは6月18日(土)10:00より「Hakuju Hallチケットセンター」で発売開始となります。 現在、各回ともプログラムを準備中です。どうぞご期待ください!

■■■ 公演情報 ■■■
二期会 ディーヴァ,ディーヴォ
二期会新星トップ6名による、ときめきのデビューコンサート!

会場:Hakuju Hall(ハクジュホール)【アクセス
    ・小田急線「代々木八幡駅」南口 もしくは
    ・千代田線「代々木公園駅」1番出口より 徒歩5分
料金:各回とも 全席指定 1,500円(税込)

主催:Hakuju Hall/株式会社白寿生科学研究所 
協力:二期会オペラ研修所
後援:公益財団法人東京二期会
《各回の日時と出演者》
■第25回
日時:2022年10月18日(火) 14:00開演(約90分/途中休憩あり)
出演:

ソプラノ
川越未晴(かわこし みはる)

ソプラノ
鈴木香栞(すずき かおり)

バリトン
宮下嘉彦(みやした よしひこ)

ピアノ
朴 令鈴(ぱく りんりん)
予定プログラム:
 ・マスネ 『マノン』より “私が女王のように町を歩くと” (川越)
 ・ドニゼッティ 『連隊の娘』より “身分も富も~フランスに栄光あれ” (川越)
 ・プッチーニ 『蝶々夫人』より “ある晴れた日に” (鈴木)
 ・J.シュトラウスII世 喜歌劇『こうもり』より “故郷の調べ” (鈴木)
 ・ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』より “激しい苦しみ” (宮下)
 ・ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より “わたしは町のなんでも屋” (宮下) ほか

■第26回
日時:2022年12月13日(火) 14:00開演(約90分/途中休憩あり)
出演:

ソプラノ
佐藤 瞳(さとう ひとみ)

ソプラノ
七澤 結(ななさわ ゆい)

テノール
河野大樹(こうの ひろき)

ピアノ
相田久美子(あいだ くみこ)
予定プログラム:
 ・R.シュトラウス 『カプリッチョ』より “他にはない、私の心を燃やすものは” (佐藤)
 ・トマ 『ミニョン』より “私はティターニア” (七澤)
 ・ドニゼッティ 『愛の妙薬』より “人知れぬ涙” (河野)
 ・グノー 『ロメオとジュリエット』より “いいのよ!私はあなたをお許しいたしましたわ” (佐藤・河野)
 ・R.シュトラウス 『アラベラ』より “もし私にふさわしい人がいるなら” (七澤・佐藤)
 ・マスネ 『マノン』より “君か… いや、あなたか!” (七澤・河野)  ほか

*出演者・曲目・曲順等が変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

▼ご予約・お問合せはこちら
Hakuju Hallチケットセンター 03-5478-8700
 火~金 11:00~17:00(※祝日・休館日を除く)
 チケット一般発売日:2022年6月18日(土)
 ※本公演チケットは二期会チケットセンターでのお取扱いはございません。

▼予定演奏曲等の詳細は決まり次第、主催者ウェブサイトに掲載されます
Hakuju Hall(ハクジュホール)

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