ミキエレットの演出コンセプト~第1幕~
「『イドメネオ』は、〈愛〉と〈生命〉の発展です」

公演初日まであと21日とせまった、東京二期会オペラ劇場『イドメネオ』。
今回の上演は、世界の歌劇場で活躍中のダミアーノ・ミキエレットの新演出(アン・デア・ウィーン劇場との共同制作)。どのような舞台になるかと心待ちにして下さる方に、立ち稽古の初日にキャスト、スタッフに説明されたミキエレットの演出コンセプトと、ウィーン公演での舞台写真をシリーズでご紹介してまいりましょう。
なお、写真のキャプションは、ミキエレットの演出コンセプトにもとづいて、演出補のエレオノーラ・グラヴァニョーラさんが説明を加えたものです。

「『イドメネオ』は、〈愛〉と〈生命〉の発展です」
「この舞台は、ギリシア神話ではなく、置きかえられた時代背景もありません。この演出では〈作品そのもの〉を描いていきます。つまり、目の前にある〈この場所〉がすべてなのです」

◆ 第1幕 ◆
201408_idomeneo_01.jpg序曲
子ども時代のイダマンテとオーバーラップ

「ここにある砂(土)は、命が与えられる場でもあり、戦場、すなわち命が奪われる場でもあります。そこではイドメネオとイダマンテの、親子の関係性が見られるところでもあります」

「愛情の矛盾」
201408_idomeneo_02.jpgイリアのアリア
“お父様、お兄様さようなら”
父親のトロイア王と兄を喪って嘆くイリア。

(キャストからの質問)――舞台上に散らばる靴には、どのような意味があるのでしょうか?
「靴は〈死〉、戦場における死を表しています。イリアが最初のアリアで靴を積んでいくのは、‘祭壇’を作っているのです。しかし、エレットラはそれを蹴飛ばして破壊してしまいます」

「復讐と残酷さ」
201408_idomeneo_03.jpgエレットラとイダマンテ
“王子、あなたはギリシアを侮辱しています”
トロイア人を解放したイダマンテを責めるエレットラ。

201408_idomeneo_04.jpgエレットラとイリア
“私の残酷な復讐を味わうがいい”
恋敵イリアに嫉妬を燃え上がらせるエレットラ。

「人々の恐怖が生んだのが、エレットラです。愛や生命やその発展に対して負の存在です」

「愚かしい誓い、残酷な誓い」
201408_idomeneo_05.jpgイドメネオと合唱
“神様、助けてください”
難破のシーンでは、イドメネオは悪夢にうなされる。

「イドメネオは肉体も精神も病んでいます。息子を生贄として殺さなければ、あるいは息子に権力を渡さなければという思いで、ますます病みは深まっていくのです」
201408_idomeneo_06.jpgイドメネオのアリア
“流された血が私の罪を責める”
血まみれの幻影におびえるイドメネオ。

201408_idomeneo_07.jpgイダマンテのアリア
“愛する父に会えたのに失ってしまった”
再会した父イドメネオに拒絶されて嘆くイダマンテ。

「イドメネオはイダマンテに権力を渡さなければなりません。しかし、このことは父子お互いに恐怖を伴うことです」

「宴会をするのにふさわしい日ではない」
201408_idomeneo_08.jpg合唱、イドメネオとアルバーチェ
“ネプチューンを讃えよう”
民衆がネプチューンを讃えている中、狂乱するイドメネオと心配するアルバーチェ。
Copyright: Werner Kmetitsch / www.photowerk.at
~ 第1幕 終 ~
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2014年9月公演『イドメネオ』 - 東京二期会オペラ劇場
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二期会チケットセンター TEL.03-3796-1831

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