11月公演『ナクソス島のアリアドネ』~執事長役・多田羅迪夫インタビュー
才能豊かな新しい世代の歌手たちとともに

今月23日から開幕する、『ナクソス島のアリアドネ』。
稽古が佳境を迎える中、執事長役で全日出演するバス・バリトン多田羅迪夫に話を聞きました。
多田羅迪夫は、1975年から81年にかけてドイツ・ハイデルベルク、ならびにゲルゼンキルヒェン市立歌劇場の専属歌手としてドイツでキャリアを積み、帰国後早くからモーツァルト、ワーグナー、そしてリヒャルト・シュトラウスの作品をレパートリーとして、東京二期会の伝統の支柱ともいえるドイツ・オペラの上演を舞台の第一線で支えてきました。
今回は、演出カロリーネ・グルーバーの希望により執事長役を務めることとなりました。多田羅とグルーバーとの初邂逅は2004年。グルーバー初来日のプロダクションに多田羅が主演し、強い信頼関係を築いてきました。
      *     *     *

201611_tatara_michio_02.jpg 「私が演じる執事長は、作品の舞台となるウィーンにおいて、エスタブリッシュメントの頂点にいるようなお金持ちの伯爵家に仕えています。あるお祝いの席で、食事の終わった後、9時に花火を打ち上げるまでの間に、オペラ『ナクソス島のアリアドネ』と道化芝居『浮気なツェルビネッタと4人の恋人たち』を上演することとなっていましたが、時間が足りない。そこで一計、この2つの物語を同時に上演するように、これは伯爵の命であるから、と作曲家たちに伝えます。
ですが、今回の演出で、私の役で特に重要な点は、伯爵そのものが執事長に扮して、彼らに無理難題を押し付けていく、という設定にあります。
通常なら、執事長は、伯爵の権威を背景にして、いわば「虎の威を借る狐」のようにして、慇懃無礼に振る舞うものです。が、今回のカロリーネ・グルーバーの演出では、執事長が伯爵という権威そのものである、ということになる。そうなれば、通常、他者の権威を借りることででてくるある種の「いやらしさ」は、多少薄まってくるでしょう。そのかわり、伯爵本人が周りの者を直接振りまわし、それを面白がる、という面がでてくる。ここが今回の演出で私の役において重要な点だと思います。ですから、あまり、こう卑屈でないように演じることを心がけたいですね。
『ナクソス島のアリアドネ』は、1971年に二期会が日本初演をし、今回が4回目の上演となります。前回からは8年ぶりです。加賀清孝公演監督も述懐していましたが、8年前とは全く新しいキャストになりました。このリヒャルト・シュトラウスのスコアはひじょうに難しいドイツ語と音楽の連続なのですが、ほとんどが初役の若手歌手中心でキャスティングされているにもかかわらず、非常に高い水準で演奏ができています。これだけの登場人物で、しかもダブルキャストで高いレベルを保てることができるようになった(キャストは全33名)というのは、若手が順調に成長してきた証であると言えます。今回の公演は、そのことをプレゼンテーションすることのできる、日本のオペラ界のエポックメイキング的な上演という意味合いがあると思います。
もちろん、若手だけではありません。私も含めてですが、小森輝彦さんのようにドイツの歌劇場で専属歌手として長年活躍されてきた歌手も出演しますし、私たちの経験が、現場を通じて、若い歌手にも役に立つという思いはあります。重要なことですが、二期会の公演というのは、いろいろな世代が集まりひとつの作品を作り上げています。また文化はそうであらなければならないと思います。
それにつけても、若い歌手の成長というのは、嬉しいものです。今回の公演は、二期会で初めての女性指揮者と女性演出家のプロダクションとなりましたが、お二人ともドイツ語圏で活動されていることで、稽古はほとんどドイツ語、時々英語で進行しています。こうしたヨーロッパの劇場とまったく同じような状況にも、もちろん日本語通訳の方はいらっしゃるけれども、若い人たちが元の言語に反応し、笑ったり、対応しているのを見ると、30年も前のことと思い比べると、もう隔世の感がありますね。」
201611_tatara_michio_03.jpg

      *     *     *
オペラの代表的な語り役のひとつでもある『ナクソス島のアリアドネ』の執事長は、多田羅自身のブログで紹介されているように、ルネ・コロなど往年の名歌手がこの役を演じることで舞台に味わいと深みを醸しだしてきました。
ウィーン初演から100年、そして日本初演(二期会初演)から45年のメモリアルイヤーに、東京二期会の各世代のエキスパートが集結して贈る『ナクソス島のアリアドネ』にどうぞご期待ください。
▼公演詳細はこちらから
ライプツィヒ歌劇場との提携公演 R.シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』 - 東京二期会オペラ劇場
11/23(水・祝)17:00、24(木)14:00、26(土)14:00、27(日)14:00 日生劇場
(多田羅迪夫は全日程出演します!)
▼チケットのお求め、お問合せは
二期会チケットセンター TEL03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日・祝 休)
S席 15,000円、A席 13,000円、B席 9,000円、学生席 2,000円(税込)
※11/15現在、23(祝)、26(土)、27(日)公演のB席が予定数終了となりました。

Gettii 《便利!》
◎二期会チケットセンターのオペラ公演インターネット予約【Gettii(ゲッティ)】なら、24時間いつでもどこでもご予約可能!
座席もご指定いただけます
チケットはお近くのセブン-イレブンでお支払&お受取(※)
予約手数料0円。左の「Gettii」ボタンからお進みください。
(※…Gettii予約券は公演会場、二期会チケットセンターでの支払・受取は出来ません)

※※学生席も販売中!※※
二期会オペラ公演は28歳未満の学生さんなら2,000円でご鑑賞頂けます!
・受付は、公演の前日まで二期会チケットセンター電話(03-3796-1831)のみ。
・事前の決裁が必要です。
▼学生席のお求め方法等、詳しいご案内はこちらをご覧ください。
学生席について - 二期会チケットセンター

Page Top