二期会名作オペラ祭『こうもり』キャスト・インタビュー~アイゼンシュタイン小林啓倫「馬鹿騒ぎだけでは終わらない、今を風刺するような、笑いの中にも棘がある」

9月公演『魔笛』に続く、〈二期会名作オペラ祭〉第2弾は、11月のオペレッタ『こうもり』です!
本日から主要キャストをインタビュー形式でご紹介してまいりましょう。

トップバッターは、昨年第89回日本音楽コンクール声楽部門で優勝を飾り、今最も勢いに乗る若手バリトンのひとり小林啓倫(こばやし ひろみち)です。歌うとその場の空気を圧倒する重厚な声で、かつハイヴォイスもこなす小林ですが、普段はいたって物腰柔らか。2017年の二期会『こうもり』ではファルケ役を演じましたが、今回は同じプロダクションでアイゼンシュタインに。今回の舞台に向けて話を聞きました。

202109_kobayashi_hiromichi_00.jpg 小林啓倫

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――小林さんが考えるアイゼンシュタインとは、どのような人物でしょうか?

小林: 彼は金持ちの銀行家で、金利で生活をしています。名前を直訳すると“鉄石”さん、その名の通りの頑固者。何をしたのか5日間投獄される事が決まり、更に役人を殴り刑期を8日間に延ばしてしまうヤンチャ者。妻が居るのに女性が大好きな遊び人。表面的には満たされているのに、とても怒りっぽく常に刺激を求めていて、何か満たされない渇きのようなものを抱えている。そんな人物だと思います。

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2017年11月『こうもり』より ファルケ役(手前右/撮影 三枝近志)

――前回、同じプロダクションでは、ファルケ役でした。復讐する奴からされる奴へと変わるわけですが、この二人が絡むシーンを中心に、見どころ、聴きどころを教えてください。

小林: 友であり復讐する側とされる側で物語の核を担う二人ですが、一幕のデュエットはとても楽しい曲でありながらアイゼンシュタインが罠に嵌められていく重要なシーンだと思います。
またアイゼンシュタインとファルケでは音域的にかなりの違いがあります。日本ではテノールが担当する事が多いアイゼンシュタインですが、バリトンが歌う事によってより自然に彼のパーソナリティを表現できるのではないかと思います。

――小林さん自身の性格は、アイゼンシュタイン派ですか?それともファルケ派ですか?

小林: ファルケは公爵や刑務所長、その他大勢の晩餐会の出席者を巻き込んだ大掛かりな復讐劇をコツコツと計画していました。そういう計画性と忍耐力がある彼は私とは正反対の人間だと思うので、私はアイゼンシュタイン派だと思います。

――演出家アンドレアス・ホモキの稽古で印象に残っていることなどありますか?

小林: 彼は必要以上に誇張された表現を嫌い、台詞のテンポ感にとても気を配っていたように思います。勿論4年前も日本語の台詞でしたが、流れが滞っていたりする所はすぐに見抜き、日本人歌手たちに日本語の台詞の指導をしていたのはとても印象的でした。

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2018年9月プッチーニ〈三部作〉『ジャンニ・スキッキ』より マルコ役(右から2番目/撮影 三枝近志)

――最後に、お客様へ向けてメッセージをお願いいたします。

小林: ファルケ役で二期会デビューしてから4年。多くの舞台を踏み、賞をいただいたりもしました。中でも『こうもり』は毎年ファルケ役やアイゼンシュタイン役で全国のどこかで演じてきた大切な作品です。またホモキ氏の演出は決して馬鹿騒ぎだけでは終わらない、どこか今生きている私たちを風刺するような、笑いの中にも棘があるような所が好きです。この演出でアイゼンシュタインを演じられるのをとても楽しみにしています。お客様にも是非ホモキ氏の『こうもり』の世界を楽しんでいただきたいと思います。

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▼『こうもり』公演情報ページはこちら
2021年11月公演 J.シュトラウスII世 オペレッタ『こうもり』 - 東京二期会オペラ劇場

2021年11月25日(木)18:30、26日(金)14:00*、27日(土)14:00、28日(日)14:00* 日生劇場
指揮:川瀬賢太郎/演出:アンドレアス・ホモキ/管弦楽:東京交響楽団
*…アイゼンシュタイン 小林啓倫 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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