2021年09月02日のエントリー

二期会名作オペラ祭『魔笛』キャスト・インタビュー~タミーノ 市川浩平「タミーノも私も、周りの人に助けられて生きている。感謝の気持ちを込めて歌います」

9月公演『魔笛』、9日(木)と12日(日)のタミーノを演じるのは、テノール市川浩平。二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『アルチーナ』オロンテでデビュー後、二期会では『サロメ』、『サムソンとデリラ』と出演が続いています。その端正な舞台姿と歌唱は、王子役にはぴったりです。宮本亞門演出のプロダクションは今回が初。公演を前にしてその意気込みを聞きました。

202109_ichikawa_kouhei_01.jpg 市川浩平

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――今回の『魔笛』のタミーノ役は、どのような役、人物、キャラクターですか。

市川: 宮本亞門演出ではゲームの世界に入り込んだタミーノがいろいろなキャラクターに出会い試練を乗り越え、立派な大人になっていきます。ただの性別的な「男」から、真の男の中の男「漢」への変貌を、作品の中で見せていけたらと思っています。
この舞台を通じて自分自身も成長出来たらとも思っています!

――名曲ぞろいの『魔笛』ですが、市川さんにとっての観どころは?

市川: 2幕のパミーナのアリアで、パミーナの訴えに対して、タミーノは黙って堪えています。パミーナの歌だけでなく、タミーノにもチラッと注目してほしいですね(笑)。アリアの感動が倍増すると思います!

――市川さんの最初のモーツァルト体験はどのようなものでしたでしょうか?

市川: 私は高校生になってから音大受験のためピアノを習い始めたのですが、ある日、先生にモーツァルトのピアノソナタを見てこいと言われました。「ソナタって・・・なんだ?」と思いながら指定された楽譜を購入し、譜面をさらい、レッスンに行きました。指と指は絡まり合い、もつれ、書かれてもいない休符を生み出し、楽譜にない音を奏でていると、ひどく先生に怒られ、高校生になりながらも滲み出る涙を堪え、怖さに手をプルプルさせながら弾いた思い出があります。それが私とモーツァルトとの最初の出会いです。

――これまでで一番印象に残っているモーツァルトの舞台、演奏はどのようなものでしたでしょうか?

市川: 高校生で歌を始め、歌の先生に見に行きなさいと言われ見に行った生まれて初めてのオペラが『魔笛』でした。地元で行われた地元の方による公演でした。その後何回も魔笛は鑑賞しましたが、主観的にその公演が一番あたたかく心に残っています。今でもその歌手たちの声と舞台のセットや照明など鮮明に思い出せます。

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2018年5月『アルチーナ』より オロンテ役(左から2番目/撮影 三枝近志)

――今、この『魔笛』を上演することの意味、お客様にお伝えされたいことは何でしょうか。

市川: 今、この時代だからこそ、上演することの意味合いは人により異なり、様々な意見があると思います。シンプルに、意味が「ある」のか「ない」のかですら、色々なことを天秤にかけると、出演する身でありながら答えがみつかりません。この公演が世の中的にどんな意味があるのかは正直なところよくわからないですし、各個人の考えに委ねるしかないのかと思っております。
ですので、非常に主観的な視点からこの魔笛上演の意味を述べますと、『魔笛』は初めて生の舞台でみたオペラで、実は大学院修士論文の題材で『魔笛』について書いているのです。とても大好きな作品です。それをこのような素晴らしい環境で演じられるのはとても意味のあることで、意味のあるものにしたいと思います。
またこの演出で、タミーノは自分の家族に似たゲームのキャラクターに助けられながら立派な大人になっていきます。私も妻や子供、親、義理の親、親族、先生、近所の人、友達、音楽教室の生徒さん達などなど・・・情けないながら生まれてこのかた、周りの方々に本当に助けられてなんとか生きていけています!そして音楽には・・・基本的に99%は悩まされてばかりですが、1%の幸せというか、楽しさというか、感動に本当に救けられています。そんな周りの人達、音楽に感謝しながら演じたいと思っています。それがどのような形になってお客様に伝わるかはわかりませんが・・・作品の受け取り方は千差万別、本当に自由だと思っていますので!私は演出家や指揮者の意図に加えて、そのような心持ちも添えつつ演じ、その結果、何かしらの感情をお客様の心の片隅に残せたら・・・ご家族、ご友人様などと会話するときのちょっとしたネタになってくれたらなぁと思っております。

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▼『魔笛』公演情報ページはこちら
2021年9月公演 W.A.モーツァルト『魔笛』 - 東京二期会オペラ劇場

2021年9月8日(水)18:30、9日(木)14:00*、11日(土)14:00、12日(日)14:00* 東京文化会館 大ホール
*…タミーノ 市川浩平 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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※緊急事態宣言の延長により、11日(土)と12日(日)公演は予定来場者数が収容定員の50%を超えているため、新規チケット予約受付を停止させていただきました。両日は当日券の販売もございません。
8日(水),9日(木)の公演につきましては、引き続き新規のご予約を承っております。尚、本公演は予定通り開催させていただきます。すでにお客様のお手元にあるチケットは有効となります。ご来場を心よりお待ちいたしております。


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