【新シーズン開幕!】2022年9月プッチーニ『蝶々夫人』~ヤマドリ役 杉浦隆大インタビュー「ヤマドリにとって蝶々さんは他に代えがたい特別な女性」

東京二期会2022-2023シーズン開幕公演プッチーニ『蝶々夫人』キャスト・インタビュー。続いて第3回は、ヤマドリ役のバリトン杉浦隆大をご紹介します。
2021-2022シーズンにおいて大活躍だった杉浦。2021年9月『魔笛』から、11月『こうもり』、2022年4月『エドガール』、7月『パルジファル』と計4公演に出演しました。そして、新シーズンの開幕にも登場いたします!
栗山昌良演出『蝶々夫人』には、2017年に続いて2度目。前回は神官役でした。今回は、ヤマドリ公爵役を務めます。
『蝶々夫人』には、蝶々さんの純粋な想いに対立するように、日本の「世間」側の人物たちが描かれます。信仰をつかさどるボンゾや、江戸から明治に時代が移った際のいわゆる「勝ち組」ともいえるヤマドリ公爵、そして、抜け目ないゴロー、お付きのスズキまで。しかし、誰も決して蝶々さんの敵ではなく、悪者でもないことがキャストひとりひとりの言葉から伝わってきます。
ヤマドリについて、まずは杉浦に話を聞きました。

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2017年10月 東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』より 神官役

――ヤマドリは、どのような役、人物でしょうか。

杉浦: ヤマドリは、ゴローの仲介で蝶々さんを嫁に迎えたいと思っている大金持ちです。
ヤマドリには少し前までたくさんの妻がいましたが、蝶々さんを迎えるためにその妻たちと離婚し、蝶々さんにだけ愛を誓うと話しています。
ヤマドリは蝶々さんのことを、他の女性とは別格の扱いをしてでも妻として迎えたいほどに魅力的で特別な女性だと思っているのです。

――ヤマドリも、蝶々さんには特別な想いを寄せていたのですね。彼女の境遇を哀れに思っていたところもあったのでしょうか。それでは、ヤマドリ役の登場シーンの聴かせどころについて教えてください。

杉浦: ヤマドリが登場するシーンは短いので、すべてが聴かせどころですが、蝶々さんにまったく相手をしてもらえず、ため息をついて「さようなら。けれど望みはまだ...(持ち続けます)」と言って去ろうとするあたりが一番かと思います。

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2022年4月 東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ『エドガール』より フランク役(写真左)

――杉浦さんの去り姿を想像すると、ヤマドリに同情してしまうお客様もいらっしゃるような気が…ヤマドリの登場シーン以外で、好きなところがありましたら教えてください。

杉浦: ヤマドリが去ってからの、蝶々さんとシャープレス2人のシーンが好きですね。
ピンカートンからの手紙をシャープレスが読み上げるのですが、蝶々さんのあまりの嬉しそうな態度にシャープレスは読み続けることを断念してしまいます。手紙の内容が絶縁状だったからです。そしてこのシーンの最後に、蝶々さんはピンカートンとの間にできた子どもをシャープレスに見せます。
ここでシャープレスが子どもの存在に気がつかなければ、オペラのクライマックスはまた違うものになるのではないかと思います。それほど重要で見応えのあるシーンだと思います。

――「むしろ、シャープレスに子どもを見せなければ…」とか、『蝶々夫人』は、感情移入がしやすいせいか、思わず「たら・れば」を想像してしまいますね。
さて、このオペラは、蝶々さんが15~18歳のときの物語で、もし「現代に生まれていたら」、天真爛漫に高校生活を謳歌していたかもしれませんね。そこで、杉浦さんはどのような高校時代を過ごされたでしょうか。


杉浦: 中学生時代に吹奏楽部でチューバを吹いていたので、高校は金管楽器ができるところを探し、オーケストラ部がある高校に入りました。そこでトロボーンを吹いていました。それがとても楽しくて、大変な部分もありましたが、トロンボーンのことばかり考えていたと思います。

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2022年7月 東京二期会オペラ劇場『パルジファル』より 第2の聖杯の騎士役(写真中央左)

――高校時代にトロンボーンで培われた音楽が、今の豊かなバリトンにつながっているように感じられました。最後に、本番に向けての意気込み、メッセージをお願いいたします。

杉浦: このプロダクションに出させていただくのは2回目でして、前回は神官を歌わせていただきました。別の役でまた出演させていただけることは本当に嬉しい限りです。ヤマドリは、登場シーンこそ少ないですが、とても重要な役だと把握しております。しっかりとヤマドリを演じられればと思います。

*     *     *


▼『蝶々夫人』公演情報ページはこちら
2022年9月公演 G.プッチーニ『蝶々夫人』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年9月8日(木)18:30、9日(金)14:00*、10日(土)14:00、11日(日)14:00* 新国立劇場オペラパレス
指揮:アンドレア・バッティストーニ/演出:栗山昌良/管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
*…ヤマドリ 杉浦隆大 出演日

主催:公益財団法人東京二期会
共催:公益財団法人新国立劇場運営財団、公益財団法人日本オペラ振興会

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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