東京二期会オペラ劇場2024年2,3月公演 ワーグナー『タンホイザー』キャスト・インタビュー [2]ヴェーヌス役:林 正子

2月28日、東京文化会館大ホールで初日を迎える、ワーグナー『タンホイザー』。
二期会キャストのリレー・インタビュー2人目は、ヴェーヌス役のソプラノ林 正子。
東京二期会では、昨年秋ヘンツェ『午後の曳航』房子役に続いての出演となりました。東京二期会では、ワーグナー、R. シュトウス作品で欠かせない存在となっています。どの役を担うときでも、深い洞察と心情に裏付けされた表現で、決してステレオタイプな人物にならず、物語に奥行きを与えています。今回もエリーザベトの聖なる愛に対立する欲望の愛を司るヴェーヌス役ですが、林が演じる「愛の神」とは?公演に向けて話を聞きました。

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ヴェーヌス役:林 正子(ソプラノ)


――ヴェーヌスとは、どのような役、どのような人物でしょうか。

林: 『タンホイザー』の出演者で、唯一の神様枠であるヴェーヌスですが、意外と人間感覚の持ち主です。
ハインリッヒと自分が構築した関係性に自信を持っていて、恐らく、自分の王国から彼が出て行きたいと思う日が来るとは想像もしたことがないのではないでしょうか。最初は自信たっぷりのヴェーヌスが、その心情をどのように変化させていくのかが、今回の聴きどころだと思います。個人的には、非常に人情(?!)に篤いこの女神さまのファンです、はい。

――『タンホイザー』って、神様側が「欲望」担当で、エリーザベトという人間側が「聖」担当という時点で、「この話、一筋縄ではいかないよ」宣言をされている感じがしますね。ワーグナーの作品は難しいと思われがちですが、林さんはどのように感じていますか?

林: 確かに、イタリアオペラのお話と比べると、ワーグナーのオペラは神々が登場する機会が多いため、親近感を持つのは難しいですよね(そもそも、神々の日常生活やルーティーンって何だろうか?)。
ところが、彼らが話している内容を聞いてみると、結局人間と同じことを言っています。あ、決して、ワーグナーの想像力欠如を指摘しているわけではありません。この『タンホイザー』の冒頭のハインリッヒとヴェーヌスの会話も、結局は「婦系図」ばりの痴話シーンであったりして、すんなり理解できる内容となっております。ワーグナーのオペラのお話は意外に難しいものではありません。

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2023年11月 東京二期会オペラ劇場『午後の曳航』より 黒田房子役 (撮影:寺司正彦)


――まずは、神々を畏れすぎずに観ることが、コツのひとつ、といえるでしょうか? さて、すでに何度か稽古を重ねてきて、今回のキース・ウォーナー演出の魅力を教えてください。

林: 何よりも先ず、舞台が美しいです。
ヴェーヌスの館は、19世紀末のメゾンクローズ(*高級娼館)を想定しているとの説明を受けました。
この設定ですと、感情の想像がしやすく、この演出家の特徴である「感情の掘り下げ」が容易にできるのではないかと。
ダンサーさんたちの使い方が、とても効果的で贅沢です。実は、ダンサーさんたちに担いでもらっての登場で、長いこと歌っていますが、登場も退場も自分の足を使わないことは初めての経験です。彼らの腰を守るため痩せよう、と決意。

――そうなると、ヴェーヌスは19世紀パリの高級娼婦にも重なる存在になりますね。『椿姫』ではないですが、ヴェーヌスがヒロインとなる物語だって、タンホイザーの物語とともに展開しているはず。やはり一筋縄ではいかなそうですね。
林さんとともに、空飛ぶヴェーヌスのダブルキャストは土屋優子さんですが、オペラで一緒になるの初でしたでしょうか。土屋さんの印象をお聞かせください。


林: 素晴らしい声の持ち主です。彼女の声なら、劇場の隅々まで声が届くことは間違い無いです。
お名前の通り、とても優しい方で、お稽古場ではいつも和ませて頂いております。
Merci,優子さん!!!

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2018年2月 東京二期会オペラ劇場『ローエングリン』より エルザ役 (撮影:三枝近志)


――最後に、お客様に、本番への意気込みをお願いします。

林: 今回のこの『タンホイザー』は、まさにThe Operaだと思います。
つまり、美しい非日常への誘いです。
寒さ厳しい折ではございますが、身も心もホットになるプロダクションです。
アーティスト一同、劇場にてお越しをお待ちしております!

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2016年11月 東京二期会オペラ劇場『ナクソス島のアリアドネ』より プリマ・ドンナ/アリアドネ役 (撮影:三枝近志)



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▼『タンホイザー』公演情報ページはこちら
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2024年2,3月公演 R.ワーグナー『タンホイザー』
- 東京二期会オペラ劇場
2024年2月28日(水)17:00*、29日(木)14:00、3月2日(土)14:00*、3日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
指揮:アクセル・コーバー/演出:キース・ウォーナー/管弦楽:読売日本交響楽団
*…ヴェーヌス 林 正子 出演日

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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