演出・宮本亜門からメッセージ! 東京二期会オペラ劇場モーツァルト『魔笛』


みなさん、こんにちは!宮本亜門です。
今年7月、東京文化会館で、東京二期会オペラ劇場モーツァルト『魔笛』を上演いたします!
――今回の『魔笛』は、オーストリア・リンツ州立劇場との共同制作公演。宮本さん自身初めてヨーロッパでのオペラ演出となりました。
オーストリアで(『魔笛』の)演出をしないかというお話が来たときは、正直1年間おことわりしつづけておりました。「日本人の僕が?西洋の歴史がわかってないじゃない!?」という思いで自分を責めていたのです。でも、それ以上に僕にはモーツァルトへの想いがありました。僕はモーツァルトが大好きなのです。
モーツァルトは、人間を善と悪でみていません。人間の中にはいろいろな矛盾があって、だからこそ、人間というものはいとおしくもすばらしい。この『魔笛』がよく荒唐無稽だと言われてしまうのは、そうした矛盾が描かれているからです。でも、それは単なる荒唐無稽なのではなく、人間はいろんな矛盾を抱えて人とともに生きている、ということが
『魔笛』のテーマのひとつなのだと僕は理解しています。
オーストリアでの初演にむけての稽古では、最初はもうドキドキして、「こんな、かつてモーツァルトがいた場所で、僕はオペラなんかできないよ」と思っていたのですが……歌手のみなさん、指揮者のみなさん、そしてオーケストラのみなさんと一緒に仕事をしていたら、まあ楽しくて……。すごく嬉しいことを言っていただきました。「一番初め、モーツァルトが『魔笛』を作ったときってこんな感じだったかもね」「今は理屈っぽいモーツァルトが多いけれども、本当はこうやってみんなに語りかけたかったのかもね」と。僕は本当に仕事してよかったと思います。ぜひ劇場に足を運んでいただいて、このあたたかい感覚を味わっていただければなあと思っています。
二期会さんと仕事させていただいて、何作目?かになるんですけれども(※実際は5作目になります)、毎回楽しい思いをさせていただいております。歌手のみなさんとの仕事では僕はいつも元気づけられます。若い人たちは「オペラってこんなに面白いんだよ!」ともっと伝えたい、という気持ちがたくさんあるみたいですね。稽古場で意見を出し合って、ほんとうに細かい心情や歌い方をていねいにお互い話し合作って本番にむかっていくという経験をしてきました。今回も素晴らしいキャストが選ばれました。日本人ならではの、ていねいな、心のこもった舞台をみなさまにお見せできると思います。楽しみにしていてください!

▼公演情報ページはこちら
2015年7月公演 W.A.モーツァルト『魔笛』 - 東京二期会
●『魔笛』チケットのお申込は
二期会チケットセンター 03-3796-1831
 (月~金:10:00~18:00/土:10:00~15:00/日祝:休)
 ~良い席お早めに!

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