サントリー音楽財団創設40周年記念サマーフェスティバル2009<MUSIC TODAY 21>のプログラムで、昨年第39回サントリー音楽賞を受賞した作曲家細川俊夫氏の代表作のオペラ『班女(はんじょ)』が日本初演され、ソプラノ半田美和子と、バリトン小森輝彦がこれに出演いたしました。
(8月21,23,26日、於:サントリーホール ブルーローズ)
美しい遊女が男の帰りを待ちわびて狂ってしまう、世阿弥作と言われる「班女」を、三島由紀夫が新しく書き直し、さらにドナルド・キーンが英訳したテキストをベースに作曲されています。美しい女のそれが狂気なのか、深い夢なのか、この世とあの世の境を漂うような、不思議な深い響きを聴かせました。
作曲した細川氏は、半田美和子の演じる花子が、自身がイメージした花子に最も近いと紹介。
狂った花子は時として幻想的。
花子が待ちわびていた恋人・吉雄を演じる小森輝彦。
花子は吉雄の顔を見て、髑髏(どくろ)のようだと・・・。
小森は透視的な女性二人に対して、自我が崩れていくような内的な線を声と息の濃淡で表現。
演出・ステージデザイン・衣装はルカ・ヴェジェッティさん。細川俊夫の作品を基に舞踊を制作し、クセナキスのオペラでも注目されており、日本の伝統文化にも深い関心を持つ。
サントリーホール ブルーローズには能舞台を出現させました。
背景のオリジナル・アートワークはイタリアで制作活動を行う吉田もえさんによるもの。
(写真提供:サントリー音楽財団)
▼サントリーホールの公演詳細はこちらをご覧ください
サマーフェスティバル - サントリー音楽財団
9月14日(トリノ)、15日(ミラノ)でも今回と同じ出演者での上演が予定されています。
▼ミラノ音楽祭
14/09/2009 21:00--Teatro Astra | Torino Milano - Festival internazionale della Musica(トリノ公演詳細/イタリア語サイト)
15/09/2009 21:00--Piccolo Teatro Studio | Torino Milano - Festival internazionale della Musica(ミラノ公演詳細/イタリア語サイト)
▼半田美和子、小森輝彦のオフィシャルサイトはこちらから
ソプラノ歌手半田美和子 オフィシャルサイト
オペラ歌手小森輝彦の公式サイト「テューリンゲンの森から」



◎土屋広次郎(つちや こうじろう・バリトン)プロフィール
秋田県出身。東海大学教養学部芸術学科音楽学課程卒業、同大学院芸術学研究科音響芸術専攻修了後、松前重義賞文化部門優秀賞を受賞。大学院在学中に海外派遣奨学生としてベルリンのフンボルト大学に留学。二期会オペラ研修所マスタークラス修了時に優秀賞並びに奨励賞を受賞。声楽を梶井龍太郎、島津与外次、鎌田直純、近藤均、梅沢一彦、H・F・フェッター、H・クレッチュマンの各氏に師事。
<稽古場にて>小森輝彦と半田美和子