タグアーカイブ: 七澤結

二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』キャスト・インタビュー [3]デイダミーア役:ソプラノ 七澤 結&清水理沙

二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』キャスト・インタビュー第3弾は、タイトルロールの七澤結と清水理沙の登場です!
ギリシア神話の「正史」が、ホメロスの『イーリアス』に残されるようなアキッレの物語であれば、このオペラはアキッレを妻であるデイダミーアから見た、スピンオフと捉えることができるでしょうか。生まれながらの「戦士」であるアキッレを匿っているうちに恋に落ち、息子を身籠ることになるデイダミーア。しかし、ついに彼は勇んで戦場に向かって行ってしまいます。

公演を前に二人に話を聞きました。

*      *      *


――デイダミーアは、どのような役ですか?


清水理沙: 恋に苦悩する、若き王女という役どころです。
七澤 結: 恋人のアキッレを、トロイア戦争に行かないように、女装をさせて匿うのですが、彼の自由奔放な行動に振り回され常に翻弄されています。精神的に不安定な面もありますが、猪突猛進でこうと決めたら全力を注ぎ、愛とエネルギーに満ち溢れた女性です。
清水: 神話でも現代でも、人の悩みの種やすれ違いの原因の普遍性を強く感じることができる、人間らしく素敵な女性です。 彼女には王女としての振る舞いや品格・知性が備わっていますが、アキッレへの思いが強すぎるせいか、音楽的にも頻繁、劇的に調性が変化していきます。そこから滲み出てくる危うさも魅力の一つであると思います。
七澤: なんと7曲もアリアがあります!音楽も軽やかなものからシリアスなもの、荒々しいものまで幅広く、デイダミーアの起伏の幅が広く表現されています。全体としてレチタティーヴォも特徴的で、転調が多く、ドラマチックです。最後のウリッセとの重唱も美しいのでおすすめです。

202404_nanasawa_yui_b.jpg
デイダミーア役 七澤 結(ななさわ ゆい)5/25(土)出演


――たくさん曲があって選ぶのも大変かと思いますが、聴きどころをあえて1曲選ぶとすれば?

清水: どの曲もとても美しくて大好きなのですが、最初に私の心を捉えて離さなかったのは2幕の「不安が本当のことを言っているのなら(Se'il timore il ver mi dice)」です。
ウリッセに口説かれているデイダミーアの姿を、偶然アキッレが目撃することでいさかいに発展します。その後、デイダミーアたちは王よりウリッセらを狩りでもてなすよう指示されますが、狩りを得意とするアキッレの姿を見られたら身分を偽っていることがバレかねません。そこで、デイダミーアはアキッレへの注目を逸らすためウリッセを誘惑することを決めますが、恋人との間に亀裂が生まれてしまうのでは、という不安を吐露するシーンで歌われます。

――このアリアのどんなところに注目してほしいですか?

清水: アキッレとの関係が崩れることへの不安と、誤解は解けるだろうと希望を見出そうとする、相反した心情が美しい旋律で切々と奏でられます。
声と合わさる器楽の和声の積み重ねがとても素敵です。決して派手な曲ではないのですが、デイダミーアの魅力が見事に凝縮されている楽曲です。

202404_shimizu_risa_b.jpg
デイダミーア役 清水理沙(しみず りさ)5/26(日)出演


――七澤さんはいかがでしょうか?

七澤: 私は、3幕の「あなたが私を不幸にした(M'hai resa infelice)」です。ウリッセ達の策略によりアキッレの女装がバレてしまい、アキッレを失ってしまうと落胆し、ウリッセに向かって怒りを爆発させて歌っているシーンです。

――注目ポイントはどこでしょうか?

七澤: 悲しみを表現するサラバンド(舞曲のリズム)のゆったりとした3拍子から始まり、Bパートでは怒りの表情が荒々しいテンポで超絶技巧の激しいアジリタで書かれています。このオペラのストーリーの中でも1番山場となるシーンで、聴きごたえのあるアリアです。
デイダミーアの起伏の激しさや、感情の爆発、そしてバロックならではの歌詞の情感や風景などの音型での表現にも是非着目して聴いていただけたらと思います。

――ふたりは今回が初顔合わせと伺いました。お互いの印象をお聞かせください。

七澤: 清水さんとは嬉しいことに同い歳でして、共通の知人からは、「私も清水さんもど天然で共通しているよね」と言われました(笑)
ですが、清水さんは芯が強くしっかりしていて、見た目の凛とした美しさや声の情感がデイダミーアにぴったりだなと思って見ております。また私とは全然タイプの違ったデイダミーアになるのではないかと思います。楽しみです!
清水: 七澤さんはいうまでもないですが、すでにご活躍されている素晴らしい歌手のお一人です。
今回キャストの顔合わせで初めてお目にかかりました。お話しすればするほど、これまでに見ていた舞台上のお姿と、たまに天真爛漫で可愛らしいお姿のギャップに、胸がキュンとしてしまいました。私は66期で後輩にあたりますが、「フランクに話そう!」とご提案くださり、心の距離を縮めることにも長けていらっしゃるのでたくさん助けていただいています。
初めてのタイトルロール、そしてダブルキャストとしてご一緒させていただけることが有難く、光栄だと実感する日々を過ごしています。

――力を合わせて、それぞれのデイダミーアを創り上げている様子が伺えました。お客様には、やっぱり両日お越しいただいてそれぞれのデイダミーアをご覧いただきたいですね!最後に公演に向けての意気込みをお願いいたします。

七澤: 初のタイトルロール、初のバロックオペラ、初の現代ダンスと、初めてのことにたくさん挑戦しております。バロック音楽は元々大好きで、この度はこんなに貴重な場で経験させていただけることに感無量です。チームは和気藹々、かつエネルギーに満ち溢れていて、ニューウェーブを起こす気満々です(笑)
バロック音楽ならではの舞曲のリズムと現代ダンスのコラボレーションも、着々と振りがついてきておりますが、楽しいことになっております。会場でしか味わえない高揚感をぜひ体感していただきたいです!
清水: これまでに様々な先輩方が出演していらっしゃる「二期会ニューウェーブ・オペラ劇場」公演。私にとっては初めてのタイトルロールデビュー、そして二期会オペラ公演デビュー作品となります。ヘンデルの魅力溢れる『デイダミーア』を、たくさんのお客様とともに楽しめたらと思います。
フレッシュな舞台をお届けできるよう、心を尽くして臨みたいと思います。ぜひ足をお運びください!劇場でお待ちしております!

――ありがとうございました。

*      *      *


▼『デイダミーア』公演情報ページはこちら
premium_ban_deidamia2024.jpg
2024年5月公演 G.F.ヘンデル『デイダミーア』
- 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場
2024年5月25日(土)17:00、26日(日)14:00 めぐろパーシモンホール 大ホール
指揮:鈴木秀美/演出:中村 蓉/管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ

▼デイダミーア役の二人は、4/23(火)開催のプレイベント「鈴木秀美のヘンデル『デイダミーア』プレトーク&コンサート」にも出演!
鈴木秀美のヘンデル『デイダミーア』プレトーク&コンサート - 東京二期会
2024年4月23日(火)19:00 めぐろパーシモンホール 小ホール

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


Page Top

いよいよ公演迫る!今年のニューフェイスが一堂に「二期会新進声楽家コンサート」

明日のスター、ここに羽ばたく!

今春、二期会オペラ研修所を優秀な成績で修了した、期待の新入会員20名が一堂に会し、二期会入会後お披露目となるデビューコンサート「二期会新進声楽家の夕べ」。

開催を目前に控え、出演者たちを代表してバリトン宮下嘉彦とテノール河野大樹からメッセージ動画が届いておりますのでご紹介します。

*     *     *



河野) 2022年10月4日、東京文化会館 小ホールにて「二期会新進声楽家コンサート」が開催されます。

宮下) 第65期マスタークラスを修了した、総勢20名の出演者で演奏いたします。

河野) 私、テノール河野大樹は、オペラ『椿姫』より「彼女の元を離れて」を演奏します。

宮下) そして私、バリトンの宮下嘉彦が、ロッシーニの『セヴィリアの理髪師』より「私は街の何でも屋」。そして僕たち二人で、ビゼーの『真珠採り』から「聖なる神殿の奥深く」を演奏いたします。

河野さん、今回の意気込みなんかありますか?

河野) そうですね。あの、高音はテノールとして もちろんのこと、低音をバリトンに負けないように頑張りたいと思います!

…宮下さんは?

宮下) 僕ですか?そうしましたらですね、僕の高音はテノールの河野さんに負けないように、しっかり張り上げて!頑張りたいと思います。

宮下・河野) それでは皆さま、会場でお待ちしておりまーす!!

*     *     *


二期会のニューフェイスたちの今後の活躍にご注目ください!!
2201004shinshin_thumb.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
二期会オペラ研修所 第65期マスタークラス修了生・成績優秀者による
二期会新進声楽家コンサート
日時:2022年10月4日(火) 18:30開演(17:45開場)
会場:東京文化会館 小ホール
(JR上野駅 公園口改札より徒歩1分)
料金:(全指定席) ¥3,000 《予定販売数終了》
出演者と演奏プログラム:
<第1部>
1. 松原愛実(ソプラノ)
  ドニゼッティ 『ドン・パスクワーレ』より “あの眼差しに騎士は”
2. 東原佑弥(テノール)
  プッチーニ 『ラ・ボエーム』より “冷たい手を”
3. 佐藤香菜(ソプラノ)
  ドニゼッティ 『シャモニーのリンダ』より “私の心の光”
4. 指出麻琴(ソプラノ)
  トマ 『ハムレット』より “さようなら、信じてくれと彼は言った”
5. 向笠愛里(ソプラノ)
  プーランク 『ティレジアスの乳房』より “いいえ、ご亭主様”
6. 芳賀あずさ(ソプラノ)
  シャルパンティエ 『ルイーズ』より “その日から”
7. 佐藤新菜(ソプラノ)
  ヨハン・シュトラウス 2世 『こうもり』より “田舎娘を演じるときは”
8. 外崎広弥(バリトン)
  ヴェルディ 『ファルスタッフ』より “これは夢か?それとも現実か”
9. 太田友梨(ソプラノ)
  グノー 『ロミオとジュリエット』より
    “ああ、なんという戦慄が!? 愛の神よ、私に勇気をお与えください”
10. 根本璃音(ソプラノ)
  ヴェルディ 『リゴレット』より “慕わしい人の名は”
11. 河野大樹(テノール)、宮下嘉彦(バリトン)
  ビゼー 『真珠採り』より “聖なる神殿の奥深く”(二重唱)

<第2部>
12. 松浦友香(ソプラノ)
  ヴェルディ 『イル・トロヴァトーレ』より “穏やかな夜”
13. 根岸茉由(ソプラノ)
  ドニゼッティ 『アンナ・ボレーナ』より “私の生まれたあのお城”
14. 鈴木遥佳(ソプラノ)
  プッチーニ 『マノン・レスコー』より “一人寂しく捨てられて”
15. 中尾奎五(バリトン)
  モーツァルト 『フィガロの結婚』より “もう訴訟に勝っただと”
16. 鈴木香栞(ソプラノ)
  プッチーニ 『蝶々夫人』より “ある晴れた日に”
17. 佐藤 瞳(ソプラノ)
  團 伊玖磨 『夕鶴』より “与ひょう、私の大事な与ひょう”
18. 川越未晴(ソプラノ)
  ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より “今の歌声は”
19. 七澤 結(ソプラノ)
  グノー 『ファウスト』より “宝石の歌”
20. 河野大樹(テノール)
  ヴェルディ 『ラ・トラヴィアータ(椿姫)』より
    “彼女のそばを離れて ~ 燃える心を”
21. 宮下嘉彦(バリトン)
  ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より “私は町の何でも屋”
(ピアノ)髙木由雅

▼公演詳細ページはこちらから
二期会新進声楽家コンサート|コンサート・ラインアップ - 東京二期会

●お問合せは 《予定販売数終了》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

Page Top

2022年度 Hakuju Hall「二期会ディーヴァ,ディーヴォ」~6名の出演者、予定曲目が発表されました!

Hakuju Hall主催の若手歌手によるコンサートシリーズ「二期会ディーヴァ,ディーヴォ」。 これまで9年、24回にわたって、二期会オペラ研修所を優秀な成績で修了した多くの若きオペラ歌手が出演し、大変ご好評いただいてまいりました。また、本シリーズは2018年度から若手歌手の魅力をさらにお楽しみいただけるよう、内容をパワーアップしてお届けしております。
華やかなオペラの大舞台に羽ばたいていく未来のスター歌手たちによるコンサート。「新しい声」のデビューの瞬間、是非お聴き逃しなく!

チケットは6月18日(土)10:00より「Hakuju Hallチケットセンター」で発売開始となります。 現在、各回ともプログラムを準備中です。どうぞご期待ください!

■■■ 公演情報 ■■■
二期会 ディーヴァ,ディーヴォ
二期会新星トップ6名による、ときめきのデビューコンサート!

会場:Hakuju Hall(ハクジュホール)【アクセス
    ・小田急線「代々木八幡駅」南口 もしくは
    ・千代田線「代々木公園駅」1番出口より 徒歩5分
料金:各回とも 全席指定 1,500円(税込)

主催:Hakuju Hall/株式会社白寿生科学研究所 
協力:二期会オペラ研修所
後援:公益財団法人東京二期会
《各回の日時と出演者》
■第25回
日時:2022年10月18日(火) 14:00開演(約90分/途中休憩あり)
出演:

ソプラノ
川越未晴(かわこし みはる)

ソプラノ
鈴木香栞(すずき かおり)

バリトン
宮下嘉彦(みやした よしひこ)

ピアノ
朴 令鈴(ぱく りんりん)
予定プログラム:
 ・マスネ 『マノン』より “私が女王のように町を歩くと” (川越)
 ・ドニゼッティ 『連隊の娘』より “身分も富も~フランスに栄光あれ” (川越)
 ・プッチーニ 『蝶々夫人』より “ある晴れた日に” (鈴木)
 ・J.シュトラウスII世 喜歌劇『こうもり』より “故郷の調べ” (鈴木)
 ・ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』より “激しい苦しみ” (宮下)
 ・ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より “わたしは町のなんでも屋” (宮下) ほか

■第26回
日時:2022年12月13日(火) 14:00開演(約90分/途中休憩あり)
出演:

ソプラノ
佐藤 瞳(さとう ひとみ)

ソプラノ
七澤 結(ななさわ ゆい)

テノール
河野大樹(こうの ひろき)

ピアノ
相田久美子(あいだ くみこ)
予定プログラム:
 ・R.シュトラウス 『カプリッチョ』より “他にはない、私の心を燃やすものは” (佐藤)
 ・トマ 『ミニョン』より “私はティターニア” (七澤)
 ・ドニゼッティ 『愛の妙薬』より “人知れぬ涙” (河野)
 ・グノー 『ロメオとジュリエット』より “いいのよ!私はあなたをお許しいたしましたわ” (佐藤・河野)
 ・R.シュトラウス 『アラベラ』より “もし私にふさわしい人がいるなら” (七澤・佐藤)
 ・マスネ 『マノン』より “君か… いや、あなたか!” (七澤・河野)  ほか

*出演者・曲目・曲順等が変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

▼ご予約・お問合せはこちら
Hakuju Hallチケットセンター 03-5478-8700
 火~金 11:00~17:00(※祝日・休館日を除く)
 チケット一般発売日:2022年6月18日(土)
 ※本公演チケットは二期会チケットセンターでのお取扱いはございません。

▼予定演奏曲等の詳細は決まり次第、主催者ウェブサイトに掲載されます
Hakuju Hall(ハクジュホール)

Page Top