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1/29(月)「明日を担う音楽家による特別演奏会」~出演者リレー・インタビュー [6]

1月29日(月)19時より東京オペラシティ コンサートホールで開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」。
世代のトップレベルの実力をもった才能が、文化庁の新進芸術家会芸研修制度により1年以上の海外研修を経て、東京に集結!その成果を一同に発表する、一夜限りのスペシャルなオペラ・ガラ。

出演者リレー・インタビュー最後を飾るのは、ソプラノ保科瑠衣。
サントリーホール オペラ・アカデミー第1期生。イタリア国立パルマ音楽院声楽科を首席修了して、現在も同古楽科に在籍中。フィレンツェ歌劇場管弦楽団、フィラルモニカ・トスカニーニ、イ・ソリスティ・ヴェネティ等多くの楽団と共演を重ねています。
古楽のエキスパートとしてキャリアを重ねつつある保科が今回選んだのは、モーツァルト『ポントの王ミトリダーテ』より「脅かす運命に」。煌びやかなコロラトゥーラの1曲を前に、話を聞きました。

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ソプラノ保科瑠衣(ほしな るい)


――オペラ歌手になろうと決意したのはいつでしたか?

保科: 小学四年生のときです。

――それは早いですね!それはどんなきっかけ、出会いがあったのでしょうか?

保科: 当時所属していた児童合唱団のメンバーとして新国立劇場で公演された『ヘンゼルとグレーテル』に出演したことがきっかけで、総合芸術であるオペラの素晴らしさに魅了されたからです。

――オペラ・デビューでオペラの道を決めたのですね!小学校4年生で新国のステージに立ったこともすごいですが、その後、イタリア・パルマに拠点を置かれました。文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用しようとしたきっかけは何でしたか?

保科: 大学の尊敬する先輩方がこの制度を利用し海外へと飛び立ち、その後素晴らしいキャリアを築き上げてらっしゃったことに憧れたことがきっかけです。

――先輩と同じように、大切にキャリアを重ねられることを願っています! 今回モーツァルト『ポントの王ミトリダーテ』からアリアを選ばれた理由を教えてください。

保科: 私のイタリアでのキャリアを始めるきっかけとなったオペラの作曲家がモーツァルトだったのですが、それ以来いつも大事なコンサートやオーディションでモーツアルトの作品を歌ってきました。
今回この素晴らしい舞台でも私にとって大切な作曲家であるモーツアルトの楽曲を歌いたいと思っていたところにこの華やかなアリアを知り、今回のコンサートにピッタリだと思い選びました。

――実は保科さんが今回の演奏会の先頭打者になります! このアリアの聴きどころ、保科さんにとっては歌いどころを、ひとつあげるとしたら?

保科: たくさんのアジリタ(細かく速い音符の連なり)と、幅広い音域です。あっ!ひとつじゃなくなってしまった!

――きっともっとあるんだと思います! 保科さんにとっての、歌の道歩んでいくための座右の銘とは?

保科: 人事を尽くして天命を待つ。

――イタリアで活動される保科さんだからこそ、重みのある言葉だと思います。歌手を目指す後輩の人たちに向けてメッセージをお願いします。

保科: 若いうちになんでも挑戦しやってみることが大切だなと年を重ねた今痛感しています。
恐れずにどんどん挑戦していってください!
そして、若いうちにどんどん海外に挑戦してください!

――今後もグローバルに活躍されることを願っています! 最後に、演奏会に向けての意気込みをお願いします。

保科: イタリアで学んだことを100%発揮できるよう、マエストロ角田と東京フィルハーモニー交響楽団のみなさまのお力を借りて精一杯演奏いたします!

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先日行われた東京フィルハーモニー交響楽団との歌合せにて
(左から)井上大聞、上島 緑、野町知弘、平野柚香、保科瑠衣、内山建人、指揮・角田鋼亮


240129asunina.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
新進芸術家海外研修制度の成果
明日を担う音楽家による特別演奏会
日時:2024年1月29日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール 【アクセス
(都営新宿線直通・京王新線「初台駅」東口より徒歩5分)
料金:(全席指定・税込)
S席¥4,000、A席¥3,000、B席¥2,000、学生席¥1,500
《チケット発売中》

出演:
(ソプラノ)平野柚香、保科瑠衣
(メゾソプラノ)上島 緑
(バリトン)井上大聞、内山建人、野町知弘
▼予定プログラム全曲、コンサート概要はこちらから
明日を担う音楽家による特別演奏会 - 東京二期会
(主催:公益財団法人東京二期会)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!
*未就学児のご入場はお断り申し上げます
*やむを得ぬ事情により出演者・演奏内容が一部変更になる場合がございますので予めご了承下さい


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1/29(月)「明日を担う音楽家による特別演奏会」~出演者リレー・インタビュー [5]

1月29日(月)19時より東京オペラシティ コンサートホールで開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」。
世代のトップレベルの実力をもった才能が、文化庁の新進芸術家会芸研修制度により1年以上の海外研修を経て、東京に集結!その成果を一同に発表する、一夜限りのスペシャルなオペラ・ガラ。

出演者リレー・インタビュー5番目は、バリトン内山建人。
大阪府出身で、学生時代から関西歌劇団、関西二期会の公演に出演。びわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーとして活躍した後、ベルリンへ。ベルリン・コンツェルトハウスやベルリン・ドイツ・オペラの舞台を経験。彼の地でベートーヴェン「第九」、シューベルト「美しい水車小屋の娘」を披露し認められた逸材は、この度ワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』よりハンス・ザックスの「ニワトコのモノローグ」を持って東京に。本番前の意気込みを聞きました。

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バリトン内山建人(うちやま けんと)


――オペラ歌手、声楽家になろうと決意したのはいつでしたか?

内山: 歌の道で生きていこうと決めたのはおそらく22歳の時です。

――22歳というと、多くの大学生がちょうど就職先を決める時期ですよね。内山さんにはどのようなきっかけがあったのでしょうか?

内山: 大学院入試に臨む過程で決意が固まりました。院試の後に、自分はこの道で生きていくんだという思いを、初めて肩肘張らずに自然に受け入れられた気がしました。その時にできる自分の歌を歌えた実感があり、それが素直に嬉しかったんだと思います。

――自分の歌を歌えた実感とはなんとも得難い体験ですね。その道を邁進するように、ドイツ・ベルリンに向かうことになるのですが、新進芸術家海外研修制度を利用しようとしたきっかけは何でしたか?

内山: 自分のすべきことに、真正面から向き合える期間を作るためでした。おかげさまでベルリンを拠点に様々なことに思い切って挑戦できました。

――海外では、自分の道に余計な情報を入れなくて済む、というメリットもありますね。今回の演奏会では、ハンス・ザックスの歌を選ばれました。選曲理由を教えてください。

内山: 師匠がワーグナー歌手だったこともあって、研修中によくレッスンで歌った曲です。ハンス・ザックスはバス・バリトンなら誰もが夢見る大役ですが、若手にはまず回ってきませんし、100%まだ早いと言われる役です。しかし、この「ニワトコのモノローグ」に限って言えば、シューベルトのようなドイツ歌曲に源流を持つ繊細な曲想で、今の自分の声でも音楽的にアプローチできます。何よりオーケストラと歌えるならこれほど豊かで美しい曲はないと思い選曲しました。

――この曲の聴きどころを教えてください。

内山: 例えば“Wie Vogelsang im süßen Mai!(まるで優しい5月の小鳥のさえずりのようだった!)”という歌詞とそれに伴う音楽に、ザックスが感じた、若く才能溢れるヴァルターの奔放で荒削りな歌を聞いた時の新鮮な感動、若さへの憧れ、そしてかつての自分への郷愁など色んな想いが同時に重なって表現されているように、どの瞬間も常にいくつかの文脈で読み解けるつくりになっているところが好きです。そこも歌曲的だなと思います。

――ドイツの芸術歌曲の要素が詰まった一曲なのですね。さて、内山さんが歌の道を歩んでいくにあたって、座右の銘があれば、教えてください。

内山: ありきたりですが「一期一会」です。どんなことを成し得ても、結局のところは今日これから歌う音楽が全てだと思いますし、音楽でも人でも、日々の新たな出会いが自分を成長させてくれます。

――内山さんのこの度のステージ、その一期一会を多くの方にお聴きいただきたいと思います。歌手を目指して、これから海外へ飛びたとうとする後輩の人たちに向けてメッセージをお願いします。

内山: 僕もまだまだひよっこなので何も言えませんが、同僚になる皆さんと一緒に歌えるときを楽しみにしています!

――後輩の皆さんとも一期一会重ねていきたいですね。そそれでは、最後に、演奏会に向けての意気込みをお願いします。

内山: 東京で、オーケストラで歌わせていただけるという貴重な機会を、精一杯楽しめるよう準備して参ります。素敵な音楽を共有できることが今から楽しみです。

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240129asunina.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
新進芸術家海外研修制度の成果
明日を担う音楽家による特別演奏会
日時:2024年1月29日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール 【アクセス
(都営新宿線直通・京王新線「初台駅」東口より徒歩5分)
料金:(全席指定・税込)
S席¥4,000、A席¥3,000、B席¥2,000、学生席¥1,500
《チケット発売中》

出演:
(ソプラノ)平野柚香、保科瑠衣
(メゾソプラノ)上島 緑
(バリトン)井上大聞、内山建人、野町知弘
▼予定プログラム全曲、コンサート概要はこちらから
明日を担う音楽家による特別演奏会 - 東京二期会
(主催:公益財団法人東京二期会)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!
*未就学児のご入場はお断り申し上げます
*やむを得ぬ事情により出演者・演奏内容が一部変更になる場合がございますので予めご了承下さい


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1/29(月)「明日を担う音楽家による特別演奏会」~出演者リレー・インタビュー [4]

1月29日(月)19時より東京オペラシティ コンサートホールで開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」。
世代のトップレベルの実力をもった才能が、文化庁の新進芸術家会芸研修制度により1年以上の海外研修を経て、東京に集結!その成果を一同に発表する、一夜限りのスペシャルなオペラ・ガラ。

出演者リレー・インタビュー4番目は、ソプラノ平野柚香。
栃木県那須塩原の出身。ミラノ・スカラ座、バイエルン州立歌劇場の両研修所でも研鑽を積み、文化庁新進芸術家海外研修制度では、イタリア・ミラノ、スイス・ルガーノで本場の空気を吸い込んできました。現在は二期会会員として、すでに国内で活躍の場を広げています。ヴェルディ『椿姫』ヴィオレッタのアリアを用意して、本番前の意気込みを聞きました。

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ソプラノ平野柚香(ひらの ゆずか)


――オペラ歌手になろうと決意したのはいつでしたか?

平野: 実は少し遅いのですが、はっきり「目指したい」と感じたのは大学2年生の時です。

――オペラ歌手の道が強い決意に変わった瞬間ですね。それはどんな体験だったのでしょう?

平野: 新国立劇場で上演されていた『夕鶴』を観に行ったことがきっかけです。日本の歌手たちの力強い歌唱と美しい所作、神秘的な雪景色に感動したことを今でも思い出します。

――深い感動が原動力になったのですね。そして、文化庁の新進芸術家海外研修制度でミラノ、ルガーノに渡ることになります。そのきっかけは何でしたか?

平野: 新国立劇場オペラ研修所の2年目にイタリア・ミラノで研修させていただいたのですが、それが私にとって初めての「海外」でした。世界の素晴らしい歌手たちや文化、日本では経験できない学びが多くあることを痛感する3週間となり、「いつか必ず戻ってくる」と決心し日本へ帰国しました。

――貴重で大切な一年間の研修だったと思います。その成果が詰まった曲として挙げられたのが、オペラ・ファンなら知らない人はいない、名アリア中の1曲でした。この曲を選ばれた理由を教えてください。

平野: 研修中イタリア・ミラノに滞在していたのですが、ヴェルディという作曲家はイタリア人にとって象徴とも言える作曲家です。1年間の研修の成果をお見せするにあたり、これほどふさわしい曲はないと感じております。

――これぞイタリアという空気、血気、芸術を聴かせていただきましょう!さて多くの人が知っているこのアリアですが、平野さんにとって「ここを聴かせたい!」というところを教えてください。

平野: 前半の美しいメロディ、後半の華やかなアジリタなど聴きどころ満載の名曲です!その中でも私は中間部、《哀れな女!独りで見捨てられるのよ》と自分の運命に抗うシーンに魅力を感じています。その後に続く「花から花へ」の中にもこの悲しみや絶望の見え隠れを感じていただけるよう歌いたいです。

――歌の道を歩んでいくにあたって、もし座右の銘があれば、教えてください。

平野: かっこいい言葉を考えたのですが思い浮かびませんでした(笑)。 常に意識しているのは「一期一会」でしょうか。音楽は言葉の違う人々をも繋ぐことのできる唯一の言語です。出会った人々との縁を忘れず、大切な人たちに音楽を届けられる人間でありたいと思っています。

――演奏上でも器楽や他の声種とのアンサンブルがありますし、舞台にたどり着くまでの多くの人々との関わり合いがありますよね。どのような言語でも、人間の感情や想いが伝わるのが、オペラのすごさのひとつと言ってもよいかもしれません。同じく、これから海外研修を目指す後輩の人たちに向けても、メッセージをお願いします。

平野: といっても私もまだ夢の途中なのですが……(笑)。音楽は一人では成り立たないものだと思っていますが、練習は常に孤独なものです。どうかその苦しみに負けず、自分と向き合う時間を大切にしてください。悩んだ分だけ答えてくれるのも、また音楽の素晴らしさだと私は思います。

――「一期一会」と「孤独との向き合い」…深い言葉ですね。 最後に、演奏会に向けての意気込みをお願いします。

平野: 素晴らしい共演者の皆様とオペラシティコンサートホール、楽しんで歌います!どうぞ暖かい格好でお越しください。会場でお待ちしております!

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240129asunina.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
新進芸術家海外研修制度の成果
明日を担う音楽家による特別演奏会
日時:2024年1月29日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール 【アクセス
(都営新宿線直通・京王新線「初台駅」東口より徒歩5分)
料金:(全席指定・税込)
S席¥4,000、A席¥3,000、B席¥2,000、学生席¥1,500
《チケット発売中》

出演:
(ソプラノ)平野柚香、保科瑠衣
(メゾソプラノ)上島 緑
(バリトン)井上大聞、内山建人、野町知弘
▼予定プログラム全曲、コンサート概要はこちらから
明日を担う音楽家による特別演奏会 - 東京二期会
(主催:公益財団法人東京二期会)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!
*未就学児のご入場はお断り申し上げます
*やむを得ぬ事情により出演者・演奏内容が一部変更になる場合がございますので予めご了承下さい


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1/29(月)「明日を担う音楽家による特別演奏会」~出演者リレー・インタビュー [3]

1月29日(月)19時より東京オペラシティ コンサートホールで開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」。
世代のトップレベルの実力をもった才能が、文化庁の新進芸術家会芸研修制度により1年以上の海外研修を経て、東京に集結!その成果を一同に発表する、一夜限りのスペシャルなオペラ・ガラ。
その出演者をリレー・インタビューでご紹介してまいります!

3番目は、バリトン井上大聞。
京都府出身。イタリアのボローニャに飛び、かの「キング・オブ・ハイF」と称されるウィリアム・マッテウッツィの薫陶を受け、ロッシーニ、ドニゼッティなどイタリアのベルカントを磨き続けてきました。今回演奏するアリアも、ロッシーニ『絹のはしご』よりジェルマーノのアリア「愛を穏やかに」。
本番を前に、話を聞きました。

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バリトン井上大聞(いのうえ たもん)


――オペラ歌手になろうと決意したのはいつでしたか?

井上: オペラ歌手を目指すきっかけとは少し違うかもしれませんが、音楽の道に興味を持ったのは小学校の頃でした。

――小さい頃の「出会い」って大切なんですね。井上さんの「出会い」は何だったのでしょうか。

井上: 小学生のころ、音楽の授業の試験で一人ずつ前に出て歌うというものがありました。他の子たちが恥ずかしがって小さな声で歌うのを見て、子どもながらにそれを「ダサいな」と感じたのを覚えています(笑)。
そこで、下手だろうがなんだろうが、大きな声で歌ったほうが絶対いい!と思い歌ってみたところ、とても評判がよく、「もしかして自分は歌が得意なのかな…?」と思い込み始めたのが全てのきっかけだったように思います。

――私たちって小さいころから「うまくできないこと」への恥ずかしさを持ってしまいがちですけど、そこを軽々飛び越えていった井上さんだからこそ、道が開けたのですね!
そして、文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用しようとしたきっかけは何でしたか?


井上: ずっと海外で勉強してみたいという憧れがあって、新国立劇場オペラ研修所を修了する際に、自身の年齢的にも技術的にも海外研修するのに適しているなと思い、また、2年間自分の習いたい師匠の元で集中して勉強できる制度はこれしかないと思い、申請しました。

――そして今回歌われるのが、ロッシーニの『絹のはしご』。この曲を選ばれた理由はなんでしたか?

井上: 研修2年目に参加したボローニャ歌劇場アカデミーのロッシーニ歌手専門のコースにて、『絹のはしご』のジェルマーノを演じさせていただきました。なかなか演奏されることのない曲ではありますが、今回の研修で学んだ事や得た経験が存分に発揮できる曲目だと思い選曲させていただきました。

――研修の成果を感じながらも、楽しい時間になりそうです。このアリアの歌いどころを教えてください。

井上: ジェルマーノのまぬけながらも愛らしい魅力が存分に詰まっている一曲です。特に後半のロッシーニらしい早口のフレーズは歌っていて楽しくなります!間に登場するブランサック役には、研修制度の先輩である野町知弘さんにお願いいたしました。今からご一緒できるのが楽しみでなりません!

――共演もこれまた楽しみです!今までのお話から、明るく、積極的に、歌の道を歩まれてきた印象がありますが、大切にしている、座右の銘があれば教えてください。

井上: 本当に、ほんとうに、歌い手にとって、体調管理は非常に大切ですので、 “よく食べてよく寝る” でしょうか(笑)

――よく歌える!その楽器をこれからも大切にしてください。それでは、これから海外研修を目指し、歌手を志す後輩の人たちに向けて、メッセージをお願いします。

井上: 自分にとって2年間の海外研修は、歌のことだけでなく全てにおいて大きな転換期となりました。少しでも興味がある人は、ぜひ一歩踏みだしてほしい。自分の世界が大きく広がるはずです!

――小学生の最初の一声から決まったような井上さんの歌の道。これからも期待していきます。最後に、演奏会に向けての意気込みをお願いします。

井上: 本当に素晴らしい体験させて頂けた新進芸術家海外研修制度の成果を発表するためにまたとない機会をいただくことができました。ご一緒させていただく角田マエストロ、東京フィルハーモニー交響楽団の皆様と共に、お楽しみ頂けるよう全力で臨んで参ります!

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240129asunina.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
新進芸術家海外研修制度の成果
明日を担う音楽家による特別演奏会
日時:2024年1月29日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール 【アクセス
(都営新宿線直通・京王新線「初台駅」東口より徒歩5分)
料金:(全席指定・税込)
S席¥4,000、A席¥3,000、B席¥2,000、学生席¥1,500
《チケット発売中》

出演:
(ソプラノ)平野柚香、保科瑠衣
(メゾソプラノ)上島 緑
(バリトン)井上大聞、内山建人、野町知弘
▼予定プログラム全曲、コンサート概要はこちらから
明日を担う音楽家による特別演奏会 - 東京二期会
(主催:公益財団法人東京二期会)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!
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1/29(月)「明日を担う音楽家による特別演奏会」~出演者リレー・インタビュー [2]

1月29日(月)19時より東京オペラシティ コンサートホールで開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」。
世代のトップレベルの実力をもった才能が、文化庁の新進芸術家会芸研修制度により1年以上の海外研修を経て、東京に集結!その成果を一同に発表する、一夜限りのスペシャルなオペラ・ガラ。
その出演者をリレー・インタビューでご紹介してまいります!

2番目は、メゾソプラノ上島 緑。
長野県出身の上島は、イタリアのクレモナを研修の地に選び、現在もクレモナのモンテヴェルディ音楽院に在籍中。イタリアでは、バロック音楽に魅了され、ヨーロッパ・デビューもグアルディアグレーレ音楽祭でのパーセル『ディドとエネアス』ディドでした。
そんな上島が今回の演奏会で選んだのは、なんとチャイコフスキー『オルレアンの少女』よりジャンヌ・ダルクのアリア。本番を前に話を聞きました。

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メゾソプラノ上島 緑(かみしま みどり)


――オペラ歌手(声楽家)になろうと決意したのはいつでしたか?

上島: 小学6年生のときです。

――子どものころにオペラとの出会いがあったのですね!どんなきっかけだったのでしょうか?

上島: 私の故郷は北アルプスの麓、信州は松本です。毎夏松本で行われるサイトウ・キネンフェスティバル(現:セイジ・オザワ松本フェスティバル)に於いて、小学6年生の時、小澤征爾指揮『ファウストの劫罰』に児童合唱として参加しました。
それまでは男の子に混じってマウンテンバイク、ミニ四駆に熱中していた子供でしたが、オーディションを機に初めて「オペラ」というものを体験しました。外国人の歌い手やスタッフ、ダンサー、見た事のない装置や斬新な演出に衝撃と興奮を覚えた事は、今も忘れられない思い出です。
現在はイタリアに住み、本場のオペラを観る機会がありますが、なかなかあの経験を超えるオペラに出会う事はできません。

――生まれ故郷で受けた体験がすべてのスタートになっているのですね。その後、文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用しようとしたきっかけは何でしたか?

上島: 私の家庭は母が音楽、父が医療関係の仕事をしており、音楽に理解のある比較的裕福な家庭で過ごしました。イタリアへ留学する際も当たり前のように私費留学をさせてくれ、ちょうど留学して5年が経とうかという時、今まで何一つ私の音楽家としての素質に否定も肯定もせず静かに応援してくれていた家族の為にも文化庁の海外研修制度に挑戦しようと思いました。結果は有難い事に一発で合格し、私の音楽家としての大きな自信になりました。

――文化庁の海外研修制度への挑戦が、独立への大きな一歩となったのですね。さて、「明日を担う音楽家による特別演奏会」ではチャイコフスキー『オルレアンの少女』を選びました。この選曲理由を教えてください。

上島: 今回はソロ曲にジャンヌ・ダルクを選びました。フランスのヒロイン的存在、救世主として有名なジャンヌ・ダルクは、百年戦争に於いてオルレアンの解放に貢献、シャルル7世の戴冠を実現させますが、コンピエーニュの戦いで捕虜となり、魔女裁判の結果1431年19歳という若さで火刑台に処されました。
今は研修を終え、イタリアとフランスの国境に位置するヨーロッパアルプス「モンブラン」の麓で生活しています。アルプスの少女ハイジの世界を少しモダンにした感じとでも言いましょうか。今回歌うアリアに出てくる、ジャンヌが故郷ドンレミ村を去る場面で歌われる情景そのものを映し出したような町です。「居心地が良く、平和で明るい谷。ごめんなさい」とジャンヌが故郷に別れを告げる全ての歌詞には、強く心揺さぶられるものがあります。それは今生活する環境そのものが訴えかけるメッセージ、そして私の故郷信州の景色とが重なった特別なインスピレーションだと理解しました。オペラを演じる上で、役の心情が自然に解る事、それは私にそれを歌うべきだと言われているような感覚になります。

――研修の成果だけでなく、上島さんのこれまで歩んでこられた風景がすべて重なる1曲ということですね。演奏会に向けての意気込みをお願いします。

上島: 今回は憧れの東京オペラシティにて、角田マエストロと東京フィルハーモニーの皆さんとの共演に胸が高鳴っています。この演奏会の為に選んだ曲目を、精一杯歌わせていただきます。

――皆様、ぜひご期待ください! では、これから海外研修を目指す、未来の歌手の人たちに向けてもメッセージをお願いします。

上島: 私何ぞが言うのも僭越ですが、「苦労は買ってでもしろ」でしょうか。
人生で大きな壁にぶつかり、生きている事さえも嫌になったそんな時、あまりに辛くて師匠に弱音を吐いてしまった事があります。その時師匠から「若いうちはたくさん苦労をしなさい」それでいいんだというような晴れやかな顔で答えてもらった事を思い出します。若いうちに苦労はして良いんだ。大事なのは、それを乗り越えてどう自分が変わったかが大切なのだと思いました。私ももう若いとは言っていられない歳になりました。今までのたくさんの苦労は大きな財産となって人生に、歌に生かされていきます。自分にしか歌えない歌を歌ってください。

――最後に、歌の道、芸術の道を歩んでいくにあたって、上島さんご自身に向けて、座右の銘があれば、教えてください。

上島: 「死ぬまで磨き続けられる楽器でいたい」です。
研修中は、ヴァイオリンの町として有名なクレモナで勉強をしました。ストラディヴァリウスを身近に接する事のできる環境は、300年かけて名器となっていったように、歌い手も限りある人生の中で常に進化し磨かれる楽器でありたいと思わせてくれました。

――ありがとうございました。

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上島 緑は、『音楽の友』1月号(2023年12月発売)の「フレッシュ・アーティスト・ファイル」でもインタビューを受けていますので、ぜひそちらもご覧ください!
▼『音楽の友』本誌の情報とご購読はこちらから
音楽の友 2024年1月号 - 音楽之友社

240129asunina.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
新進芸術家海外研修制度の成果
明日を担う音楽家による特別演奏会
日時:2024年1月29日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール 【アクセス
(都営新宿線直通・京王新線「初台駅」東口より徒歩5分)
料金:(全席指定・税込)
S席¥4,000、A席¥3,000、B席¥2,000、学生席¥1,500
《チケット発売中》

出演:
(ソプラノ)平野柚香、保科瑠衣
(メゾソプラノ)上島 緑
(バリトン)井上大聞、内山建人、野町知弘
▼予定プログラム全曲、コンサート概要はこちらから
明日を担う音楽家による特別演奏会 - 東京二期会
(主催:公益財団法人東京二期会)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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*未就学児のご入場はお断り申し上げます
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1/29(月)「明日を担う音楽家による特別演奏会」~出演者リレー・インタビュー [1]

1月29日(月)19時より東京オペラシティ コンサートホールで開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」。
世代のトップレベルの実力をもった才能が、文化庁の新進芸術家会芸研修制度により1年以上の海外研修を経て、東京に集結!その成果を一同に発表する、一夜限りのスペシャルなオペラ・ガラ。
その出演者をリレー・インタビューでご紹介してまいります!

先頭バッターは、バリトン野町知弘。
土佐生まれの長州人。東京芸術大学、同大学院、新国立劇場オペラ研修所を経て、イタリア・ミラノで研鑽を積み、イタリア・リヴォルノでのマスカーニフェスティバルにて、『シルヴァーノ』レンツォ役でデビュー後、現在もミラノで活動中です。

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バリトン野町知弘(のまち ともひろ)


――オペラ歌手(声楽家)になろうと決意したのはいつでしたか?

野町: 小学2年生の時です。

――そんな早い時期に、すごいですね!なにかきっかけがあったのでしょうか?

野町: 小学生で受けられるコンクールがあり、そのときにこれなら評価されると気がついて声楽家になろうと思いました。

――文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用しようとしたきっかけは何でしたか?

野町: 小学6年生の時から声楽家としてイタリアに住むという目標があり、それを達成するため文化庁の研修制度を考えていました。

――幼いころから、声楽家の道を、それもイタリアでの活躍を目指し、今こうして実現しているわけですが、研修中に力を入れて取り組んだことはなんでしたか?

野町: イタリア語の発音です。
日本では学ぶことが難しいことで、イタリア人が日常で喋っている発音はもちろん、イタリア人が学ぶイタリア舞台語発音を日常生活やレッスンで知り、それを発声のテクニックと合わせて行くことを目標に取り組みました。

――今回の特別演奏会で選ばれたアリアは、
ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』より「残酷で不吉な苛立ちが」
Donizetti:Lucia di lammermoor "Cruda funesta smania"
この曲にした理由を教えてください。


野町: この曲は、研修中もずっと練習はしていましたが、自分としては安定しない難しい曲でした。なので、コンクールやコンサートでも歌ったことがありませんでした。 研修を終えて、今回はオーケストラと歌えるということで、ノリで選びました。

――ノリで!ついにその成果を発表するときが来た、ということでしょうか。このアリアの聴きどころをひとつ教えてください。

野町: 聴きどころというか、曲頭にある歌詞 ”Cruda” の U の母音を綺麗にいうのが、目標です。
上手くいかなくても暖かく見守ってください。

――最後に、野町さんにとって、歌の道、芸術の道を歩んでいくにあたって、座右の銘があれば教えてください。

野町: 他人に厳しく自分に厳しく。

――ありがとうございました。

*      *      *


イタリアの言葉と音楽の本質に目標を定める野町さんの歌を、初めて聴かれるお客様も多いと思います。ぜひご期待ください!

240129asunina.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
新進芸術家海外研修制度の成果
明日を担う音楽家による特別演奏会
日時:2024年1月29日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール 【アクセス
(都営新宿線直通・京王新線「初台駅」東口より徒歩5分)
料金:(全席指定・税込)
S席¥4,000、A席¥3,000、B席¥2,000、学生席¥1,500
《チケット発売中》

出演:
(ソプラノ)平野柚香、保科瑠衣
(メゾソプラノ)上島 緑
(バリトン)井上大聞、内山建人、野町知弘
▼予定プログラム全曲、コンサート概要はこちらから
明日を担う音楽家による特別演奏会 - 東京二期会
(主催:公益財団法人東京二期会)

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!
*未就学児のご入場はお断り申し上げます
*やむを得ぬ事情により出演者・演奏内容が一部変更になる場合がございますので予めご了承下さい


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