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二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』キャスト・インタビュー [2]ネレーア役:ソプラノ 河向来実&田中沙友里

二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』キャスト・インタビュー第2弾は、ネレーア役の河向来実、田中沙友里の二人です。
オペラの舞台は、エーゲ海に浮かぶスキューロス(スキュロス)島。ここはギリシア世界の戦いが嘘のように平和で自然豊かな土地。この島を治める王家の娘がデイダミーアで、その親友が、河向と田中演じるネレーアです。
アキッレを戦場に向かわせるため、この平和な島に、知将ウリッセとカルゴスの王子フェニーチェがやってきます。このフェニーチェとネレーアの恋愛関係がサブストーリーとなって、古代ギリシアの神話がいかにもオペラらしく展開していくことになります!

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――二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』ご出演おめでとうございます!二人が演じるネレーアはどのような役でしょうか?


田中沙友里: ありがとうございます!
ネレーアは、王族の血筋をもつ娘で、王家の娘デイダミーアの親友です。彼女も、デイダミーアとリコメーデ王とともに、アキッレが男性であることを知っています。そこで、デイダミーアに状況を伝えたり、アドバイスする役割をはたしています。
河向来実: とてもポジティブで、落ち込むデイダミーアを明るく励ます、溌剌とした女性だと感じています。また芯のある女性なので、一筋縄ではいかないところがとても好きです。
田中: 最後は自分の幸せもゲットする、いろんな意味でしっかりものの女性だと思いました(笑)
主人公のデイダミーアとは違い、冷静で精神年齢も少し大人な女性であり、よりキャラクターの違いが感じられるかと思います。

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ネレーア役 河向来実(かわむかい くるみ)5/25(土)出演


――ネレーアがいることで、ギリシア神話がとてもオペラらしい展開が生まれていますよね。ネレーアの聴きどころを教えてください。

河向: 第1幕4場で歌われる「Sì che desio(私の願いはあなたの望むことです、~あなたの心に喜びがなければ、私の心にも喜びはありません)」はとても珍しい曲だと思います。
このような強い愛の歌が相手役であるフェニーチェ(*)ではなく、デイダミーアに対して歌われます。その前のレチタティーヴォでデイダミーアから「私のことを愛しているわよね?」ときかれ、このアリアを歌うのですが、なんだか意味深で…(笑) 曲調も私が歌う他の曲と比べてとても情熱的で、聞き応えのある音楽なのでぜひ注目して聞いていただきたいです。
(*)…フェニーチェは、ウリッセとともにアキッレを探しにスキューロス島にやってくるアルゴスの王子。

――友情をこえた感情を感じさせるのでしょうか。どんな演出で描かれるかも楽しみにですね。田中さんはいかがですか?

田中: 第3幕3場の「Non vuò perdere l’istante (タイミングを逃したくない)」です。フェニーチェから求婚され、承諾するときにうたう喜びの歌です。
音楽はシンプルですが、彼女のキャラクターが見えますし、求婚された喜びを冷静に喜んでいながらも、これからの未来に希望を抱いているようにも感じられる、たくさんの要素がつまったアリアです。今回は、初稿版を演奏するので、初めて耳にされる方が多いかと思います。耳馴染みがよく、皆様に覚えていただきやすいメロディなのも特徴的です。

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ネレーア役 田中沙友里(たなか さゆり)5/26(日)出演


――デイダミーアとアキッレが戦争のために「別れ」~しかも永遠の別れになってしまう~の運命にあるのに対して、ネレーアは素朴な幸福が描かれているようにも思えますね。さて、二人も二期会オペラ研修所の同期でしたね。それぞれの印象は?

田中: はい、河向さんとは、二期会オペラ研修所マスタークラスの同期で、先日の東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』公演では、エリーザベトのアンダースタディを一緒にやっておりました。プライベートでも仲が良く、一緒にいて、笑顔がとまらずあっという間に時間がたってしまうほど、楽しくて素敵な人です。
河向: 自分で言うのもなんですが、私と性格も考え方もとてもよく似ていて、稽古場でも以心伝心が多く、田中さんと勉強することができてとても楽しかったです。『タンホイザー』の稽古中も、公演が終演した今でも、ほぼ毎日のように連絡をとっています(笑)
田中: 河向さんは、若いながらも彼女の奥深い艶やかな声と表現力が豊かなところがとても魅力的です。歌手としても尊敬しており、毎回、歌声を聞くたびに惚れ惚れしております!
河向: 田中さんの歌声はすごく安定感のあるリリコで、研修所時代もいつも聴き惚れていました。今回もダブルキャストとして一緒に切磋琢磨できれば嬉しいです。

――以心伝心さがインタビューからも伝わってきます。どのようなネレーアの個性が生まれるでしょうか。本番への意気込みをお願いします。

河向: なかなか日本では上演されることが少ない、ヘンデル最期のオペラ『デイダミーア』のキャストとして舞台に立つことができ、とても光栄です。お茶目で可愛らしいネレーアを演じられるよう努めてまいりますので、ぜひお運びくださると嬉しいです。
田中: 二期会のオペラデビューとなる公演です。各方面からのスペシャリストの方々と作り上げていく舞台に今からワクワクが止まりません!
3年に一度のニューウェーブ公演でぜひ若手の全力なパワーを感じながら、最後まで楽しんでください! たくさんの方のご来場をお待ちしております。

――ありがとうございました。

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▼『デイダミーア』公演情報ページはこちら
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2024年5月公演 G.F.ヘンデル『デイダミーア』
- 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場
2024年5月25日(土)17:00、26日(日)14:00 めぐろパーシモンホール 大ホール
指揮:鈴木秀美/演出:中村 蓉/管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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2023年の二期会ニューフェイスが一堂に!
「二期会新進声楽家コンサート」~出演者メッセージ 《3》

明日のスター、ここに羽ばたく!

今春、二期会オペラ研修所を優秀な成績で修了した、二期会期待の新入会員20名が一堂に会して開催する、デビューコンサート「二期会新進声楽家コンサート」。

9月15日(金)の開催を前に全出演者からのメッセージをソロ出演順にご紹介しています。昨日までに前半10名をご紹介いたしました。今日からは後半、まず5名のご紹介です。

*     *     *


202309_yoshida_saho.jpg■ 吉田早穂(よしだ さほ/ソプラノ)
グノー『ファウスト』より “宝石の歌”

多くの芸術家を魅了したゲーテの物語。悲劇と救済を描くメロドラマに、マルガレーテの純真無垢なキャラクターがより一層際立ちます。特に「宝石の歌」では、感情がほとばしる様子が音楽に表されています。
私は演奏会に出演するにあたり、曲中の彼女の気持ちに近いものを感じています。彼女のようにワクワクとした気持ちを声で表現し、皆様をオペラの世界へ優しく誘える歌手として在りたいと思います。
202309_fujita_mayu.jpg■ 藤田真由(ふじた まゆ/ソプラノ)
ベッリーニ『カプレーティ家とモンテッキ家』より “ああ、幾たびか”

『カプレーティ家とモンテッキ家』よりジュリエッタのアリアを演奏させていただきます。学生の頃から大切にしてきた曲を歌えること、大変嬉しく思っております。
愛するロメオではない相手との婚礼を前に、揺れ動くジュリエッタの心情を美しい旋律に乗せてお伝えできるよう、心を込めて演奏いたします。
202309_kotani_mika.jpg■ 小谷美佳(こたに みか/ソプラノ)
グノー『ロメオとジュリエット』より “ああ、なんという戦慄が”

私は、予科から3年間研修所に所属しており、1番初めの試験で歌った曲がこの曲目でした。思い入れのある曲を二期会新進声楽家コンサートという晴れ舞台で歌える事が本当に嬉しいです。3年間お世話になった感謝と、これからも精進していく誓いを込めて当日は歌わせて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します。
202309_kawamukai_kurumi.jpg■ 河向来実(かわむかい くるみ/ソプラノ)
ドヴォルザーク『ルサルカ』より “月に寄せる歌”

今回、このような素晴らしい演奏の機会を頂き、身の引き締まる思いです。私が歌う『ルサルカ』と言うオペラはどこか人魚姫に似た作品で、最後は悲しい結末を迎えます。初めてのチェコ語に戸惑いつつも、ドヴォルザークの素晴らしい音楽を皆様と会場で感じられるのを楽しみに精一杯歌わせていただきます。
202309_tanaka_sayuri.jpg■ 田中沙友里(たなか さゆり/ソプラノ)
レオンカヴァッロ『道化師』より “鳥の歌”

この度、新進演奏会コンサートに出演することができ、光栄に思います。
研修所では、先生方から厳しくも温かいご指導をいただき、そして出会った仲間にたくさんの刺激をもらい、歌い手として大きく成長することができました。研修所で培った集大成を舞台で最大限表現できるよう頑張ります。客席から見守っていただけたら嬉しいです。

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二期会のニューフェイスたちのこれからの活躍にどうぞご注目ください!!
230915shinshin_thumb.jpg 公演チラシ(PDF)■■■ 公演情報 ■■■
二期会オペラ研修所 第66期マスタークラス修了生・成績優秀者による
二期会新進声楽家コンサート
日時:2023年9月15日(金) 18:30開演(18:00開場)
会場:東京文化会館 小ホール
(JR上野駅 公園口改札より徒歩1分)
料金:(全自由席) ¥3,000
出演者と演奏プログラム:
<第1部>
1. 渡邊瑛介(テノール)
  ベッリーニ『カプレーティ家とモンテッキ家』より “この剣はそのためにある”
2. 山﨑友理(ソプラノ)
  マスネ『マノン』より “わたしが女王のように街を歩くと”
3. 和田 央(バス・バリトン)
  ロッシーニ『セビリアの理髪師』より “わしのような医者に向かって”
4. 竹内穂乃香(ソプラノ)
  グノー『ロメオとジュリエット』より “私は夢に生きたい”
5. 栗田宰早(テノール)
  モーツァルト『魔笛』より “なんと美しい絵姿”
6. 村瀬亜紀(ソプラノ)
  ベッリーニ『清教徒』より “あなたのやさしい声が”
7. 上田彩乃(ソプラノ)
  J.シュトラウスII世「春の声」
8. 亀山泰地(バリトン)
  モーツァルト『フィガロの結婚』より “すべて準備は整った…少しばかりその目を開け”
9. 清水理沙(ソプラノ)
  ヴェルディ『運命の力』より “神よ、平和を与えたまえ”
10. 大井川由実(ソプラノ)
  ロッシーニ『セミラーミデ』より “麗しい光が”
11. 中江万柚子(ソプラノ)&室岡大輝(バリトン)
  ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』第1幕より
    アメーリアと総督(シモン・ボッカネグラ)の二重唱

<第2部>
12. 吉田早穂(ソプラノ)
  グノー『ファウスト』より “宝石の歌”
13. 藤田真由(ソプラノ)
  ベッリーニ『カプレーティ家とモンテッキ家』より “ああ、幾たびか”
14. 小谷美佳(ソプラノ)
  グノー『ロメオとジュリエット』より “ああ、なんという戦慄が”
15. 河向来実(ソプラノ)
  ドヴォルザーク『ルサルカ』より “月に寄せる歌”
16. 田中沙友里(ソプラノ)
  レオンカヴァッロ『道化師』より “鳥の歌”
17. 岩谷香菜子(ソプラノ)
  ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』より “あたりは静けさに包まれ”
18. 東 幸慧(ソプラノ)
  ヴェルディ『リゴレット』より “慕わしい人の名は”
19. 舘野真由花(ソプラノ)
  ヴェルディ『椿姫』より “ああ、そはかの人か~花から花へ”
20. 室岡大輝(バリトン)
  ヴェルディ『ファルスタッフ』より “夢か現実か?”
21. 中江万柚子(ソプラノ)
  ドニゼッティ『ロアン家のマリーア』より “不吉な…哀れみの神よ”
(ピアノ)朴 令鈴

▼公演詳細ページはこちらから
二期会新進声楽家コンサート|コンサート・ラインアップ - 東京二期会

●お問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

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