2022年05月09日のエントリー

7月公演 ワーグナー『パルジファル』~クンドリ役 橋爪ゆかインタビュー「ワーグナーには、大自然のような偉大さを感じます」

二期会創立70周年記念公演ワーグナー『パルジファル』にクンドリ役で出演するメゾソプラノ橋爪ゆか。
同役は2012年の二期会創立60周年記念公演(飯守泰次郎指揮/クラウス・グート演出)に続いての出演となります。もちろん『パルジファル』のほか、『さまよえるオランダ人』ゼンタ、『ワルキューレ』ジークリンデ、『ジークフリート』ブリュンヒルデなど多くのワーグナー作品でキャリアを重ねてきました。
その芳醇な響きの歌声で、ロシア歌曲にも造詣を深めています。公演に向けて話を聞きました。

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2008年2月 東京二期会オペラ劇場『ワルキューレ』より ジークリンデ役

――これまで幾度もワーグナー作品に出演してきた橋爪さんは、ワーグナーの音楽や世界についてどのように感じているでしょうか。

橋爪: ワーグナーの作品はとにかくスケールが大きい。自分の手中には到底入れることのできない、大自然のような偉大さを感じます。自然だけでなく動物も出てきますし、ワーグナーは動物好きだったようですね。上演時間はとても長いですが、それをも忘れさせてしまうような、時間や空間の枠のない、知らず知らずに虜にさせられてしまう不思議な魔力が、ワーグナーの作品にはたくさん詰まっているところでしょうか。
私はすっかりワーグナーの世界に魅了されています。
普段から、庭で花や野菜を育てたり、生き物も好きで飼育したり、木が好きで木工をしたり……ちょっと変ですが、それが至福の時でして。だから、ワーグナーの、森や木のような音を感じる音楽が好きなのかなと思っています。

――ワーグナーの音楽には、大きな自然讃歌のような魅力があるのですね。今回橋爪さんが演じるクンドリはどのような人物でしょうか。

橋爪: クンドリは「呪われた女」と言われていますが、謎の多い女です。どこから来たのか、どこへ行くのか、クンドリ自身も自分は何者なのか、最後までわからないのかもしれません。
しかし唯一、闇と光の2つの世界を知っている。最後に死をもって浄化されるクンドリですが、魂が浄化されていくことを考えると、人間の体を持った「何か」なのかもしれません。

――クンドリ役の見どころ、聴きどころについて教えてください。

橋爪: 2012年の二期会創立60周年記念公演『パルジファル』でクンドリ役をいただいたときにも感じましたが、クンドリは感情的に大変入り組んだ役で、今回久しぶりに楽譜を開き、また改めてクンドリの多彩な役に身の引き締まる思いであり、同時にまたワクワクもしています。1幕、2幕3幕と別人のように変化していくクンドリと気持ち新たに向き合いたいと思います。各幕ともに、音楽に沿って様々に染まっていくクンドリを楽しんでいただけたら幸いです。

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2012年9月 東京二期会オペラ劇場『パルジファル』より クンドリ役

――幕ごとに人物像がどんどん変化するのがクンドリならではの難しさであり、やりがいと感じられているのかと思いました。『さまよえるオランダ人』のゼンタや、『タンホイザー』のエリーザベト、『トリスタンとイゾルデ』のイゾルデなど、他のワーグナー作品にあらわれる女性像とは少し異質な感じがします。橋爪さんは、どのようにお感じになられているでしょうか。

橋爪: ゼンタ、エリーザベト、イゾルデともに、自分の意志があり、それをはっきり示すことのできる女性たちであるとするならば、クンドリは抗うことのできない渦の中で、自分の意志とは無縁の女性だと感じます。因縁の渦中とも言いますか、どんなに奉仕をしても救われることのない姿には、深い苦しみが感じられますが、しかし思うに、クンドリは深いところではとても清らかな女性ではないかと思っています。

――奥深いところにクンドリ本来の清らかさがある。その話を聞いて、クンドリは、何か様々な情報に忙殺され我を失いそうになる現代人の写しでもあるような気もしました。最後に、本公演に向けて、ファンの皆様にメッセージをお願いします。

橋爪: 今回の公演は指揮セバスティアン・ヴァイグレさん、演出宮本亞門さん、そして2012年の時と同じく読売日本交響楽団。どのような音楽とどのような演出に、どのような『パルジファル』ができ上がっていくのか、今からとても楽しみです。初めての方にも、何度もワーグナーの作品に足を運ばれている方にも、本公演の『パルジファル』をワクワクドキドキしながら楽しんでいただけたら、ワーグナーの世界に魅了されていただけたら、とても嬉しいです!!

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▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年7月13日(水)17:00、14日(木)14:00*、16日(土)14:00、17日(日)14:00* 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
*…クンドリ 橋爪ゆか 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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