2011年05月07日のエントリー

典雅にして闊達なモーツァルト『フィガロの結婚』無事終演

宮本亜門が、初めて二期会オペラを手掛けた2002年『フィガロの結婚』は、2006年に再演され、そしてこのたび東京二期会創立60周年記念公演として、3度目の上演がかないました。舞台写真とともに、公演を振り返ります。
☆4月28・30日公演写真(撮影:鍔山英次)
★4月29・5月1日公演写真(撮影:三枝近志)


1幕冒頭。頭の回転の早いスザンナ(菊地美奈)と人がいいフィガロ(久保和範)のコンビ。


スザンナ(嘉目真木子)とフィガロ(山下浩司)は結婚を心待ちにしています。


清水華澄のマルチェリーナの豊かな表情と、ベテラン池田直樹のバルトロの味わい。




マルチェリーナ(諸田広美)とバルトロ(三戸大久)の珍カップル。スザンナとマルチェリーナの女の争いは、コミカルな芝居で客席も沸きます。


伯爵(与那城 敬)は、結婚を控えたスザンナにご執心。音楽教師バジリオ(坂本貴輝)は、表情身振りも大げさな慇懃無礼ぶりで、人物像が際立っていました。


ケルビーノ(杣友惠子・奥)の敏捷で溌剌とした姿が印象的です。
手前は左から伯爵(鹿又 透)、バジリオ(吉田伸昭)、スザンナ(菊地美奈)


ケルビーノは伯爵夫人(澤田恵美)に憧れています。名アリア「恋とはどんなものかしら」


ケルビーノ(下園理恵)は、あどけなさと向う見ずなところをうまく見せます。



伯爵は、伯爵夫人(増田のり子)の慌てた様子に疑心暗鬼。
嫉妬は心の闇が闇を呼ぶ、不思議な心理です。


伯爵(与那城 敬)のアリア。怒りは悲しみ。


気品あふれる伯爵夫人を演じる増田のり子。


バルトロとマルチェリーナがフィガロの両親と判ったシーン。
このような大人数のアンサンブルの息もぴったり。


ドラマの展開を写し取ったような繊細で柔らかな照明(大島祐夫)が、高い効果をあげました。
写真で雰囲気だけでも見ていただけるでしょうか。


4幕。伯爵(鹿又 透)は、伯爵夫人(澤畑恵美)がスザンナに変装しているとは知らず、熱心に誘います。人物の入れ替わり、変装は、物語を引っ張る重要なシーン。


フィナーレ。伯爵夫人と伯爵が仲直り。
このオペラにはいくつも、仲直りのシーンがありますがこれが最後。
伯爵夫人の宝石のような音楽。

舞台を重ねるごとに魅力を増した嘉目真木子のスザンナ、若きバリトン、与那城 敬の貫禄ある伯爵。「ピンをなくした」というバルバリーナ(砂田恵美、馬原裕子)のアリア。いずれも忘れ難い舞台でした。

28,30日キャスト カーテンコール
(撮影:堀 衛)

29,1日キャスト カーテンコール
(撮影:堀 衛)

マエストロ、デニス・ラッセル・デイヴィスのフォルテピアノとともに、艶やかな音楽で、3時間30分の長丁場を支えてくれた東京フィルハーモニー管弦楽団に、大きな拍手が送られました。

公演期間中、ホールのロビーでは、出演者や二期会関係者が東日本大地震の被災地に送る義援金の協力を呼びかけ、4日間で817,721円が集まりました。この義援金は、東京都生活文化局を通して被災地へお届けします。ご協力ありがとうございました。

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▼公演詳細はこちらをご覧ください
2011年4,5月公演『フィガロの結婚』- 東京二期会オペラ劇場

帆かけ舟

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