2014年11月18日のエントリー

演出・田尾下哲の『チャールダーシュの女王』第1幕解説!

貴族とキャバレーの歌姫の恋を描いた物語『チャールダーシュの女王』は、1915年の初演当時、同時代を舞台にした〈現代劇〉でした。
演出の 田尾下 哲 みずからが『チャールダーシュの女王』の第1幕を解説しています!
「版によってキャラクター設定、曲順、さらには物語の意味や歌う人さえも違ってくる『チャールダーシュの女王』。音楽事典やインターネットで調べても情報の少ないこの作品の鑑賞の一助になれば、と二期会2014版のあらすじをお話しさせていただきます」
今回は、田尾下 哲 書き下ろしのオリジナル台本が特長。
台本にあたっては、
「ドイツ語による初演時のオリジナル台本はオーストリアやドイツの劇場関係者に聞いてもついに入手することが出来ませんでした。ですが、逆に言えばそれだけ上演する国や劇場によって独自の『チャールダーシュの女王』が愛されてきた、ということでもあります。今回の二期会2014版は、入手できた上演台本、つまり代表的なウイーン・フォルクスオパー版、英語版といくつかの映像・録音を参照しながらも、今回は楽譜に準じて書き上げていきました」
初演当時の姿を甦らせながらも、作品としての新しい発見に満ち、そしてもちろんオペレッタならではのエンターテインメントが全曲にわたって繰り広げられる2014年 田尾下 哲 演出『チャールダーシュの女王』。
   *   *   *
物語はオリジナル設定のまま第一次世界大戦前夜、1914年のハンガリーとウィーンです。ブダペストの歓楽街にあるキャバレー劇場「オルフェウム」の歌姫シルヴァ・ヴァレスクが二ヶ月に及ぶアメリカ公演に旅立つ前の「さよならコンサート」から舞台は始まります。20世紀初頭ですから飛行機ではなく船旅による大陸間の移動が主流の時代ですが、それでも船旅はもう命がけの時代ではありません。それに、たかだか二ヶ月の不在がこれほどまでに劇場の人々や聴衆を悲しませるのは何故でしょう…。
●前奏曲
観客の熱狂に何度も舞台へ呼び出されるシルヴァの姿を舞台裏からお見せします。疲労困憊のシルヴァですが、コーラスやダンサーが場を繋ぎながらも、何度も観客の声援に応えます。舞台裏には、劇場支配人、パトロン、衣裳さん、メイクさん、舞台監督やカーテンの開閉係、記者の姿も見えます。
●1番 「ハイア、ハイア!私の故郷は山の中!」
(シルヴァ、ボニ、フェリ、合唱、ダンサー)
シルヴァは8回目のアンコールに応えようと舞台へ出ていこうとしますが、めまいで倒れ、舞台監督が幕を閉じてしまいます。客席からは心配したフェリとボニが舞台裏にやって来て、シルヴァを気遣いながら客席に語りかけながら時間を繋ぎ、シルヴァの回復を待って8回目のアンコールとなります。ハンガリーの郷土愛に満ちたこの曲を、シルヴァは最初はしっとりと歌いながら、次第に熱狂し、ダンサーたち、コーラスも巻き込んで歌姫のさよならコンサートにふさわしい盛り上がりを見せます。
そして、シルヴァが別れの挨拶をします。
「これほど素敵なお客様に愛していただき、私は幸せ者です。そしてそのことが、皆様へ、さよならを言うことを辛くさせます。皆さまどうか、私のことを忘れないでください。二ヶ月してアメリカから帰国したら、真っ先にここに駆けつけます。我が愛するオルフェウムへ。」
…喝采する一同ですが、どこか寂しげなシルヴァがたくさんの花束を手に舞台を去ります。
 ・・・(続く)
▼続きはこちらのファイルをご覧ください!
田尾下 哲『チャールダーシュの女王』第1幕解説全文 (PDFファイル)
▼『チャールダーシュの女王』田尾下 哲インタビュー#1 ×指揮・三ツ橋敬子

▼『チャールダーシュの女王』田尾下 哲インタビュー#2 ×振付・キミホ・ハルバート

▼公演詳細ページはこちら
2014年11月公演E.カールマン『チャールダーシュの女王』 - 東京二期会
日程:11月22日(土)15:00/23日(日・祝)14:00/24日(月・休)14:00/26日(水)14:00
会場:日生劇場
【11/18・15:00現在の二期会チケットセンター残席状況】
・22土=Sあり/A,B少/C僅少/D終了
・23祝=Sあり/A僅少/B,C,D終了
・24休=Sあり/A少/B,C僅少/D終了
・26水=Sあり/A少/B,C僅少/D終了
※尚、「学生席」は全日程で若干の残席がございますが、公演当日は販売を致しません。
 二期会チケットセンター予約販売のみとなります。
▼ご予約・お問合せは
二期会チケットセンター TEL:03-3796-1831

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