タグアーカイブ: パリアッチ(道化師)

眼差し「シチリアの、あるいは現代の」『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ』いよいよ始動!

気鋭の演出家、田尾下 哲が拓く、新しいオペラの可能性。
歌手たちはすでに音楽稽古、アンサンブル稽古と準備を積み、立ち稽古が行われています。
この数日前に、演出家自ら行ったワークショップから、近況を少しお伝えしましょう。
  *   *   *
ワークショップは、舞台の稽古の場でしばしば行われます。
出演者と役や作品について自由に意見交換を行ったり、さまざまなアプローチやシチュエーションを試したり、研究したり、ミュージカルや芝居の経験も多い田尾下氏は、ワークショップというスタイルを好むようです。
原作は、『カヴァレリア・ルスティカーナ』はイタリアのシチリア島、『パリアッチ』はイタリア南部のカラブリア地方を舞台にしています。この二本立てとすることは多いのですが、組み合わせというのは“奇妙なもの”でもあります。
装置や空間、といった舞台上の制約もさることながら、一晩で演じられ、お客様が2つの作品を続けて観る、という物語の時間と、現実の時間の一次的、二次的な設定が、演出家の腕の見せどころ、ともなります。
ましてや、『パリアッチ(道化師)』は、劇中劇。
田尾下氏は、“視られている”という状況が、人の行動や考えを制限したり、あるいは操るもの、と考えました。
では視ているのは誰か。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』の場合は村人たちの眼。
シチリアでは、殺人事件の目撃者はいない、等と言われるくらい、コミュニティの結束が強く、文学や映画の舞台にもなるわけです。厳しい気候、貧しい土、家族、宗教、政治が絡み合う密接で複雑な人間関係、今回の舞台に、これらを具体的に舞台上に表す、ということではないのですが、登場人物の関係性の根拠として重要です。
サントゥッツァの恋人、トゥリッドゥは軍隊に行く前は、ローラと付き合っていました。トゥリッドゥが除隊して戻ってきた時、ローラは村の有力者、馬車屋のアルフィオと結婚していました。しかし、トゥリッドゥは再び、ローラと密会するようになります。この一部始終を、村の人々が見る、噂になる、皆が知っている、という状況。
これが、トゥリッドゥの運命を決定づける“第三者の眼”の意味です。
では、『パリアッチ』の場合は?こちらは幕が開くまでの楽しみ、としておきましょう。
『パリアッチ』は、道化師カニオが率いる一座の女優ネッダが、若者シルヴィオと恋に落ちることから始まる悲劇。座長の妻であり、一座の花形女優のネッダですが、彼女は決して、自分の境遇に満足していません。
ネッダが歌うアリア「鳥の歌」。
Stridono lassù, liberamente lanciati a vol,
大空を自由に飛ぶ鳥を見て、“ここではない何処か”に憧れがあふれ出るのです。
田尾下氏は、“美しい人は、美しいと人に思われていることを知っている”と語ります。
女優を演じる、ということはどういうことか。
ネッダの夢とは何であったのか。
公演まで、1ヶ月。どうぞお楽しみに。

帆かけ舟

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サロンコンサートの愉しみ ~ごく身近で味わうオペラと「人の声」の醍醐味

去る4月29日、町田市所在の「アートスペース・オー」において、『子どもと魔法』(5月)、『パリアッチ(道化師)』(7月)の出演者たちが本公演に先駆けてそのハイライトシーンを披露する機会がありました。
「アートスペース・オー」はオーナーの大橋夫妻が20年以上に亘ってまさに手づくりで続けてきた、クラシック音楽に対する愛情がたっぷりと感じられるサロンコンサートの場です。
▼アートスペース・オーについて
アートスペース・オーとは - アートスペース・オー
▼当日のプログラム詳細はこちら
今までのコンサートの記録 - アートスペース・オー

この日のコンサートは前半に湯浅桃子(ソプラノ)と澤村翔子(メゾソプラノ)が登場。トマ『ミニョン』~「私はティターニア」、ビゼー『カルメン』~「ハバネラ」などフランスオペラからの代表的なアリアを歌った後、ふたりが出演する5月の二期会ニューウェーブ・オペラ劇場公演『子どもと魔法』から、子ども役とお姫様役のやりとりする場面を披露しました。
フランスでも活躍していた梅田麻衣子さんのニュアンスたっぷりなピアノ演奏も手伝って、ラヴェル独特の世界の一端をお客さまに味わっていただきました。

曲間のトークでは、今まさに立ち稽古真っ最中の両名から、出演者たちが悪戦苦闘しながらも活発な意見交換をしながら精力的に稽古に取り組んでいる様子が楽しく語られるひとコマも。何しろ登場する役のうち人間は子ども役のひとりだけ。
演出・加藤直氏からは、たとえば「肘掛椅子」役の男性歌手に対して「肘掛椅子のように歩いてください!」と、ふだんのオペラでは想像できないような指示が飛ぶとか。
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前半の最後はドリーブ作曲の『ラクメ』~「花の二重唱」。湯浅と澤村の声が美しく溶け合いました。

コンサート後半はイタリアオペラの世界をご案内。7月の東京二期会オペラ劇場公演『パリアッチ(道化師)』がオペラデビューとなる高橋絵理(ソプラノ)がプッチーニ『ジャンニ・スキッキ』~「私のお父さん」を歌って華やかにスタート。
続く片寄純也が負けじとカルディロ「カタリ・カタリ」を歌い上げました。
そして『パリアッチ(道化師)』より、大空を飛翔する鳥に憧れの気持ちを重ねて歌うネッダ役のアリア「大空を晴れやかに」を高橋が熱唱。そしてカニオ役の片寄による渾身のアリア「衣装をつけろ」はこの日の白眉となり、最高の盛り上がりとなりました。
最後の曲ディ・カプア「オー・ソレ・ミオ」の二重唱で温かな拍手を頂戴した後のアンコールはヴェルディ『椿姫』~「乾杯の歌」で締めくくりとなりました。
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親密な空間の中で、和やかな中にも熱気あふれる雰囲気をお客さまとご一緒できたひとときが終わりました。
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みなさまのご来場をオペラ公演の会場でお待ちしております!!
▼湯浅桃子、澤村翔子の出演情報はこちら <公演はいよいよ今週末に迫りました!>
二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『スペイン時間』『子どもと魔法』 - 東京二期会
▼高橋絵理、片寄純也の出演情報はこちら
東京二期会オペラ劇場7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ(道化師)』 - 東京二期会

figaro

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二期会創立60周年記念ガラ・コンサート無事終演

去る4月3日(火)夜、東京オペラシティ コンサートホールにて「二期会創立60周年記念ガラ・コンサート」が開催されました。
60gala-a-334c.jpg 伊原直子
60gala-a-361d.jpg 栗林義信
当夜は悪天候にもかかわらず本当に大勢のお客様にご来場頂き、指揮・下野竜也のタクトのもと13名のソリストたちが華やかな演奏を繰り広げ、60年の歴史をあらためて感じさせる晴れやかな一夜となりました。(管弦楽・東京交響楽団)
また、開演前には7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)』のキャストによる特別ロビーコンサートも開催。喝采をいただきました。
ガラ・コンサートでは沢山の熱い声援と拍手!そしてアンケートも続々と…。
その一部をご紹介しましょう。
☆すばらしかった。まさにきら星でした。(50代)
☆お一人お一人素晴らしい歌唱力の方達を一堂に聴く事が出来て感動しました。
 宮本さんの司会、わかりやすくて、とてもよかったです。(60代女性)
☆過去60年間の舞台、演奏を思いだして感無量。最後のメリーウィドーワルツは
 立川さんを偲んだ。60年間ずっと楽しませてもらって感謝している。(70代男性)
☆二期会のスターたちによる耳になじみの曲がたくさん聴けて楽しかった。
 ロビーコンサートもすばらしかった。事前に全く知らなかったので嬉しい
 サプライズでした。今後益々精進されて、すばらしいステージを実現してください。
 期待しています。(60代)
☆今後共日本のオペラ界を引っ張っていってほしい。(70代男性)
☆オーケストラと歌手の方達の一体感がすばらしく、ガラなのに毎作品ドラマを
 拝見しているようでした。(40代女性)
☆美味しいお菓子の詰め合わせのような楽しく感動的なひとときでした。(40代男性)
☆オーケストラも歌も本当によかったです。トークも面白かったです。
 とても感動しました。又、聴きに行きたいです。(40代女性)
ご来場、誠にありがとうございました。
▼記念ガラ・コンサートの出演者・演奏曲はこちらをごらんください
二期会創立60周年記念ガラ・コンサート - 東京二期会オペラ劇場

そして二期会創立60周年記念公演は今後も数多く予定しております。どうぞご期待ください!
▼今後の記念オペラ公演ラインアップはこちらをごらんください
二期会創立60周年記念オペラ公演ラインアップ - 東京二期会オペラ劇場

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岡田昌子、上江隼人、平成24年度(第23回)五島文化賞オペラ新人賞を受賞!

2012年2月公演『ナブッコ』で絶賛を博したソプラノ岡田昌子とバリトン上江隼人が、第23回五島記念文化賞オペラ部門平成24年度オペラ新人賞を受賞、去る4月11日に東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで贈呈式が行われました。
授賞式のために一時帰国した岡田は、祝賀パーティーで『ナブッコ』アビッガイッレのアリアをドラマティックに披露、喝采を浴びました。
今回の受賞により、イタリアにおいて長期計画で研鑽を積む予定で、さらなる飛躍を目指します。
okada_shoko_1204.jpg 岡田昌子  kamie_hayato_1204.jpg 上江隼人
イタリア・ミラノ在住の上江は、『ナブッコ』での日本主役デビューで見事タイトル・ロールの重責を果たしましたが、すでにイタリアにおいては若手のホープとして以前より注目されています。2011年10月にはパルマ郊外のブッセートで行われたパルマ王立歌劇場主催のヴェルディ・フェスティバルに登場、『トロヴァトーレ』の主役ルーナ伯爵を歌い、一躍内外の脚光を浴びました。
現在はパルマ王立歌劇場『スティッフェリオ』(ヴェルディ)スタンカー伯爵役での出演に向け稽古を重ねているため、受賞式には帰国出来ず、映像での出演となりました。
「今回は稽古期間も長く、貴重な経験となりました。次​のパリアッチに生かせるよう、日々ハングリー精神を忘れ​ずに頑張ります!」と気力も充実の上江。
その『スティッフェリオ』の指揮が、同じ『ナブッコ』で日本デビューし、絶賛を博したアンドレア・バッティストーニというのもまた深い縁を感じます。

2人の今後の活躍にどうぞご注目ください!

▼こちらに第23回五島記念文化賞受賞者が紹介されています
第 23 回 五島記念文化賞 - 公益財団法人五島記念文化財団
▼パルマ王立歌劇場『スティッフェリオ』は只今公演期間中
STIFFELIO - Teatro Regio di Parma(パルマ王立歌劇場)
▼上江隼人は7月に『パリアッチ(道化師)』トニオ役で出演のため再び帰国します。
2012年7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)』 - 東京二期会オペラ劇場

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『モーストリー・クラシック』最新号に、バッティストーニ&上江隼人が登場!

「鮮烈、という言葉が似合う指揮者」
『モーストリー・クラシック』最新3月号で、音楽評論家の加藤浩子さんに、このように紹介されているのは、東京二期会オペラ劇場2月公演『ナブッコ』の指揮者、アンドレア・バッティストーニです。
こちらのブログや『二期会通信』(オペラを楽しむ)で私たちも紹介してきましたが、専門誌上でも取り上げられました!
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記事では、「50年に一人」と囁かれるイタリア現地での熱狂ぶりと、バッティストーニ自身のヴェルディ・オペラに対する心酔的なまでの抜群の理解力が紹介されています。
もちろん、東京での『ナブッコ』の翌月には、すぐさまミラノ・スカラ座に『フィガロの結婚』でデビューすることにも言及されていました。
記事によれば、バッティストーニ自身「カラヤンやアッバード、ムーティと比べられるわけですから責任重大」と語っています。自らの存在の大きさを、この24歳の青年指揮者はしっかりと自覚しているのか・・・と思うと、なんだか、ゾクっとします。

そのバッティとならんで紹介されているのが、バリトン上江隼人!
ヴェルディ・バリトンに向かう上江の熱く、真摯な想いが伝わってきます。ぜひご一読ください。
2月の二期会『ナブッコ』でタイトルロールの大役を務めることは言うまでもありません。続く4月、今回の提携先であるパルマ王立歌劇場にて、バッティストーニの指揮によるヴェルディ『スティッフェリオ』のスタンカー伯爵に抜擢されたことが伝えられています!
▼パルマ王立歌劇場はこちら
Stifelio - Teatro Regio di Parma
王立歌劇場デビューを果たした上江の凱旋公演となるのが、二期会の7月『パリアッチ(道化師)』のトニオということになります。

ところで、二期会は、1952年2月25日、日比谷公会堂における『ボエーム』で歴史の歩みを始めました。
したがって、2012年2月17日にプレミエを迎える『ナブッコ』公演は、まさに、ちょうど60年目のオペラ公演となります。
今回『モーストリー・クラシック』で紹介された若き天才指揮者と、若き芸術的バリトンが、記念公演を大きく羽ばたかせる一翼を担っていることは間違いありません。ぜひご期待ください!
▼『ナブッコ』公演詳細はこちら
東京二期会オペラ劇場2月公演『ナブッコ』 - 東京二期会
▼『パリアッチ(道化師)』公演詳細はこちら
東京二期会オペラ劇場7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ(道化師)』 - 東京二期会

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