2018年11月02日のエントリー

11月『後宮からの逃走』キャスト・メッセージ~オスミン役:加藤宏隆&斉木健詞

11月公演モーツァルト『後宮からの逃走』キャスト・メッセージ。これまで4回にわたってキャスト本人から、自身の役柄と見どころ聴きどころを紹介してきました。ラストはトルコの後宮の番人、オスミン役の加藤宏隆と斉木健詞です。

<オスミン>
「これまでの仕事ぶりがパシャ様に認められてブロンデという女を与えていただいた。もろタイプ♡なんだが、ペドリッロとかいう西洋からきた庭男が俺の女にちょっかいをかけてきやがる。ムカつくぜ!西洋の男はいつ見ても、女のお尻を追いかけているか酒を飲んでいるかのどちらかだな。いったいいつ仕事しているんだ!?」(by斉木オスミン健詞)

トルコ人のオスミンは、他の4役が高声の西洋人であることに対して、ひとり低声のソロ役で異文化のキャラクターを歌い演じます。粗野で暴力的で頑固でありながら気弱な面も見せる。表現する幅が広い分、高い歌唱力も要求されるオスミンに、今が旬のバスが臨みます。

     *     *     *

加藤宏隆 (かとう ひろたか)
11月22日(木)・24日(土)出演

アメリカとイタリアでオペラを学んだ加藤は、ヴェルディ『ドン・カルロ』宗教裁判長という大役で東京二期会デビューを果たし、今年は7月にウェーバー『魔弾の射手』カスパールを好演した注目の若きバス・バリトンです。説得力ある声の魅力もさることながら、先のカスパールでみせた演技力にもご期待ください。

《オスミン役について》
加藤: オスミンはトルコの太守セリムにつかえる番人です。非常に頭が固く、よそ者には常に不信感を抱き、とても粗暴な性格をしています。セリムから与えられたブロンデに恋心を寄せていますが、自分の範疇に無いリベラルな考え方をするイギリス人のブロンデに翻弄され、情けない一面を見せたりもします。

《オスミンの見どころ・聴きどころ》
加藤: 歌手の視点からみると、どのキャラクターにおいても技巧的な歌唱が多く出てくることが、このオペラの最初の魅力だと感じます。オスミンですと、非常に早口で歌うところもありますし、また音域は全体的に広く、アリアでは下のレの音まで出てきます。他のオペラの中でここまで低い音を歌った経験は今までにありません。それだけに歌い甲斐のある役とも言えるのですが。

《このオペラのテーマ、メッセージ》
加藤: このオペラには現代の我々にも通じる、とても明確な普遍的テーマを内包していると思います。物語は相反するものの対比がいくつか描かれています。この対比の先にあるものが「赦し」です。この「赦し」をどう捉えるか、これは時代を越えた我々への問いかけ、課題であるように思います。


東京二期会オペラ劇場 2018年7月公演 ウェーバー『魔弾の射手』より
カスパール役 加藤宏隆

     *     *     *

斉木健詞 (さいき けんじ)
11月23日(金・祝)・25日(日)出演
 
先月、共同制作公演『アイーダ』のランフィスを歌い、全国満員御礼の公演の成功に大きく貢献したばかり。豊かな声と抜群の容姿で、東京二期会のみならず新国立劇場、兵庫県立芸術文化センター、びわ湖ホール、日生劇場ほか、第一線のオペラの舞台に欠かせないバスとして活躍が続いています。加藤宏隆とは2014年東京二期会『ドン・カルロ』以来のダブル・キャスト競演。

《オスミン役について》
斉木: オスミンを表現するキーワードは「剛腕、酒、女性」でしょうか。
実は、仕事ができる優秀な人物だと思います。だからこそ、太守セリムに可愛がられ、信頼も厚い。後宮の番人としての今の地位を得ているのです。ブロンデは、そんな仕事ぶりが認められた「褒美」としてオスミンに与えられたものでした。

《オスミン役の見どころ、聴きどころ そして このオペラのテーマとメッセージ》
斉木: とにかく、超早口と超低音!同じモーツァルトのオペラでも、『フィガロの結婚』バルトロより早口で、『魔笛』ザラストロよりはるかに低い音域を歌わなければならない、難役です。
今回の演出では、オスミンも若者で、愛を探しています。
オスミンのことは、たいていどのように考えられているでしょう。オスミンにとって女性は所有物であり、その扱いは乱暴で、粗暴。そのように思われていないでしょうか。
では、彼に愛は無いのでしょうか?西洋の価値観、西洋の愛だけが、愛なのでしょうか?
オスミンを通して、このオペラの、今回の舞台のテーマが見えてくると思います。
ぜひ、ご来場ください!


2013年5月 東京二期会オペラ劇場 ヴェルディ『マクベス』より
バンコー役 斉木健詞

     *     *     *

▼これまでにブログでご紹介しました、キャストからのメッセージはこちら
第1回:コンスタンツェ役 ソプラノ松永知史&安田麻佑子
第2回:ベルモンテ役 テノール金山京介&山本耕平
第3回:ブロンデ役 ソプラノ冨平安希子&宮地江奈
第4回:ペドリッロ役 テノール升島唯博&北嶋信也

▼『後宮からの逃走』公演情報ページはこちら
2018年11月公演 W.A.モーツァルト『後宮からの逃走』 - 東京二期会オペラ劇場

 2018年11月22日(木)18:30、23日(金・祝)14:00、24日(土)14:00、25日(日)14:00 日生劇場
 指揮:下野竜也、演出:ギー・ヨーステン、管弦楽:東京交響楽団、合唱:二期会合唱団
 〈主催〉公益財団法人東京二期会
 〈共催〉公益財団法人ニッセイ文化振興財団【日生劇場】

●お問合せ・チケットのご予約は
 二期会チケットセンター 03-3796-1831
 (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!

 
 

Page Top

11/12(月),13(火)はラリアンスで日本とフランスの美味を満喫!「第7回 ラリアンス・ワインとオペラを愛でる会」

2019年前半の二期会オペラはフランス祭り!
2月のフランス国立ラン歌劇場との共同制作公演『金閣寺』に始まり、4月には、『ファウストの劫罰』(2011年)、『ホフマン物語』(2013年)に続いてタクトを執る、フランスの巨匠ミシェル・プラッソンを迎えての〈東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ〉『エロディアード』、そして6月にはフランス世紀末文学を象徴するオスカー・ワイルド原作によるR.シュトラウスの代表作『サロメ』と続きます。

そこで、フランス料理のフルコースとワイン、東京二期会のオペラ歌手によるステージのマリアージュが毎回大好評の、神楽坂のフレンチレストラン ラリアンスのディナー・イベント「ワインとオペラを愛でる会」次回11月12日(月)、13日(火)開催の第7回は、日本とフランスの美味をテーマにお届けすることとしました。

「前菜」には、日本の秋の名歌を添えて、続く「お魚料理」には、2019年10月公演の『蝶々夫人』のアリアとフランス・オペラから二つの名重唱をお聴きいただき、声のアッサンブラージュをご堪能。「お肉料理」には、フランス・オペラとフランスを舞台にしたオペラから珠玉のアリアのステージを。最後には、来年11月フレンチ・オペレッタ『天国と地獄』にちなんで作曲家のオッフェンバックに、プーランクを加えて、パリの軽妙洒脱をラリアンスの「デザート」に合わせます。
食べ終わるころには幸せになって、来年の東京二期会公演が待ち遠しくなること間違いなし!

出演のオペラ歌手は、ソプラノ徳山奈奈、横森由衣、メゾソプラノ郷家暁子、テノール持齋寛匡、根津久俊、バリトン大川 博、小林啓倫。ピアノは髙田恵子です。
特別な一夜を、ぜひお愉しみください。


ソプラノ
徳山奈奈

ソプラノ
横森由衣

メゾソプラノ
郷家暁子

テノール
持齋寛匡

テノール
根津久俊

バリトン
大川 博

バリトン
小林啓倫

ピアノ
髙田恵子

■■■ イベント情報 ■■■
〈ラリアンス特別企画〉
第7回 ワインとオペラを愛でる会

日時:2018年11月12日(月)・13日(火) 両日19:00開宴(18:30開場)
会場:神楽坂「ラリアンス」メインダイニング
   (「飯田橋駅」JR西口より徒歩2分・地下鉄B3出口より徒歩1分)
料金:おひとり様 25,000円
   お料理フルコース・ワイン4杯・音楽料(消費税・サービス料込)
   ※各日限定50名様
出演:(ソプラノ)徳山奈奈、横森由衣
   (メゾソプラノ)郷家暁子
   (テノール)持齋寛匡、根津久俊
   (バリトン)大川 博、小林啓倫
   (ピアノ)髙田恵子

▼ワインリスト・お献立・予定演奏曲について詳しくはこちらからご覧ください
第7回 ワインとオペラを愛でる会|イベント - ラリアンス

●お問合せ・ご予約は
 ラリアンス TEL03-3269-0007(フロント)まで
 
 

Page Top