2010年07月23日のエントリー

人間の際限のない欲望と天上の美しさ、『ファウストの劫罰』閉幕

コンテンポラリーダンス、H・アール・カオスを主宰する大島早紀子が、舞台上に時空を超えて魅せるファウストの夢。フランスの巨匠ミシェル・プラッソンと入念な準備を重ね、力強く挑んだ東京二期会オペラ劇場/ベルリオーズ作曲劇的音楽『ファウストの劫罰』。東京文化会館を駆け抜けた4日間の本公演のシーンをご紹介します。

第一部冒頭。彫刻のような構図にうごめく人間、苦悩が積み重なっていきます。

ファウスト(左):福井 敬 


年老いたファウスト博士のしみじみとした朗唱「古びた冬は」。孤独な憂いに沈んでいます。

ファウスト:福井 敬 


数多くの舞台経験を誇る二期会合唱団が登場、<復活祭の歌>。一人ひとりが演奏にも演技にも繊細な表現とクオリティを求められ、見事にこたえました。 


若さを取り戻したいというファウスト博士の欲望をかなえようと悪魔メフィストフェレスが囁きます。

ファウスト(左):樋口達哉
メフィストフェレス:泉 良平 


メフィストフェレスは、ファウストをライプツィヒの酒場に連れていきます。学生ブランデルは「ねずみの歌」を滑稽な調子で歌います。
メフィストフェレス(後右):小森輝彦
ファウスト(後左):福井敬
ブランデル(中央):佐藤泰弘 


心が晴れないまま眠るファウストの周りに精霊が現れる<空気の精のバレエ>。 


白河直子をはじめとするダンサーは、現実と幻想の世界を自在に往き来し、宙に舞います。 


兵士や学生たちの合唱。生きて帰る兵士、あるいは死者として帰る兵士。 


夢の中でファウストに恋したマルグリートが歌う<トゥーレの王>。
17日公演のマルグリートは、出演者変更により小泉詠子が出演。素晴らしいデビューを飾りました。 


メフィストフェレス「悪魔の名にかけて踊れ」。マルグリートを惑わせる<鬼火の踊り>。
妖気、光と声、煌めき、その昂揚ぶりはまさに悪魔的。 


メフィストが地下深くに姿を隠す瞬間─本当に魔界へ消えるようです。

メフィストフェレス:泉 良平 


ファウストとマルグリートの束の間の逢瀬を打ち破るメフィストフェレス。

マルグリート(左):林 正子
メフィストフェレス(中):泉 良平
ファウスト(右):樋口達哉 


マルグリートが一人部屋で歌うロマンス<激しい炎のような愛は>。再会を約束したファウストが現れない─私の小さな頭は狂ってしまう。

マルグリート:小泉詠子 

◇ 
ファウストが渡した眠り薬で母親を殺してしまったためにマルグリートは死刑になった、と告げられて、ファウストは彼女を助けるために悪魔の契約書に署名します。<地獄への騎行>。オーケストラが最高潮に鳴り響く中、ファウストは地獄へ落ちます。

ファウスト(前):樋口達哉
メフィストフェレス:泉 良平 


男声合唱が不気味な呪文を唱えると、魔物の様相を表わす狂乱狂舞のシーン。 


「神よ、彼女は真に愛しておりました。」

マルグリート(中央):林 正子 


<選ばれた魂と子供たちの合唱>天上の歌に導かれ、マルグリートは昇天します。 

猛暑の中、大勢のお客様にご来場いただき、まことにありがとうございました。
(写真をクリックすると拡大してご覧いただけます)
★撮影:鍔山英次
◇撮影:三枝近志

▼公演詳細はこちらをご覧ください
2010年7月公演『ファウストの劫罰』- 公演記録|東京二期会

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