タグアーカイブ: 初鹿野剛

第八回藤沢オペラコンクール結果
第1位にソプラノ谷原めぐみ、第2位にメゾソプラノ小泉詠子

「第八回藤沢オペラコンクール」本選が、去る3月20日藤沢市民会館大ホールで開催され、ソプラノの 谷原めぐみ が第1位および福永賞を受賞しました。
本選ではベッリーニ『清教徒』から「ここであなたの優しい声が」とヴェルディ『オテロ』から「柳の歌」を歌い、その実力を発揮しました。尚、谷原は本年4月より「新国立劇場オペラ研修所」第13期生として新たな研鑽を積んでいます。
また第2位には、やはり若き実力派として注目を集めているメゾ・ソプラノ小泉詠子が選ばれています。
主催者によると今回の応募は21歳から35歳までの140人だったそうです。
tanihara_megumi.jpg 谷原めぐみ  koizumi_eiko.JPG 小泉詠子
そして今回の第1位〜奨励賞を受賞した6名が出演する記念演奏会が、5月29日(土)に藤沢市民会館大ホールで開催されます。
◆第8回藤沢オペラコンクール 記念演奏会
日時:2010年5月29日(土)15時開演
会場:藤沢市民会館大ホール
出演:第1位谷原めぐみ(S)、第2位小泉詠子(MS)、奨励賞田崎尚美(S)、奨励賞金原聡子(S)ほか
ゲスト:樋口達哉(T)、 初鹿野 剛(Br)ほか
主催・お問い合わせ:藤沢市みらい創造財団 芸術文化事業部 0466-28-1135
▼コンクールと記念コンサートの詳細はこちらをご覧ください
藤沢オペラコンクール - 藤沢市みらい創造財団 芸術文化事業部

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公演後記 R.シュトラウス最期のオペラ『カプリッチョ』

11月の連休中(20日~23日)、日生劇場に於いてリヒャルト・シュトラウス作曲『カプリッチョ』を上演致しました。
ジョエル・ローウェルスの演出ノートから
1942年(この『カプリッチョ』が作曲された年)という年の政治状況を鑑みれば、シュトラウスにとって作曲活動は困難を極めたはずである。またこの年には旧友のシュテファン・ツヴァイク(*)が、ヨーロッパの未来に絶望して自らの命を絶つという傷ましい出来事もあった。
(*)…編集者注:才能豊かなオーストリアの作家
R.シュトラウスが、最晩年に、この世に遺していった『カプリッチョ』。音楽か言葉か、一つをとれば、一つを失う、二つは一つ、その意味を深く問いかける公演となりました。
その舞台をご紹介します。
☆印…20・22日組キャストから(撮影:鍔山英次)
★印…21・23日組キャストから(撮影:三枝近志)

連合軍の爆撃を受けて、廃墟となったパリの邸宅に、フラマン(望月哲也=左)とオリヴィエ(石崎秀和)がやって来て、憧れの人に捧げた楽譜と詩、それに肖像画を隠します。二人はユダヤ人で、ヒットラー率いる秘密警察に追われています。 


劇場支配人ラ・ロシュ(山下浩司=左前)、音楽家フラマン(児玉和弘=右)に、詩人オリヴィエ(友清 崇)。新しいオペラブッッフォを作ろうと盛り上がっています。 


気心知れた兄伯爵(成田博之)と妹の伯爵令嬢マドレーヌ(釜洞祐子)。哲学者、ということになっているけれど、なかなか洒落っ気もあり、恋にも気楽な伯爵と、チャーミングで快活、そして芸術に非常に深い共感を示す妹。親密でまた教養あふれる当時の貴族のサロンをのぞいている気分になります。 


女優クレロン(加納悦子=中央右)に夢中の兄(初鹿野 剛=中央左)と、その兄をからかう妹の令嬢(佐々木典子=中央)。 


思いを寄せる女優クレロン(谷口睦美=左から2番目)の登場に、嬉しさいっぱいの伯爵。谷口は、ミステリアスで魅惑的な女優を見事に演じ、その飲みっぷり、女優っぷりに客席も盛り上がります。 


美しいものにすぐに熱を上げる伯爵は、花のようなバレリーナ(伊藤範子)に、さっそく関心を示し、せっかく少し気を許したかのようなクレロンの機嫌を損ねます。 


一心不乱に床を掃き、窓を磨く─伯爵家の兄妹が幼い頃からこの家に長く勤めているのであろう年老いた召使い(久保たけし=中央後姿)。ついつい眠り込んでしまうこともあるけれど、小さな踊り子たちに優しい、その不思議な存在感に、次第に惹きつけられたお客様も多いのでは? 


小さな踊り子たち。 


イタリア人歌手たち(羽山弘子と渡邉公威)。何事も大げさなイタリアオペラを風刺して、ちょっぴり皮肉に、ユーモラスに描かれていました。 


作曲家フラマンと詩人オリヴィエは二人ともマドレーヌに心を奪われています。マドレーヌはそのことを知っていますが、きっと二人とも愛していたのです。でも今は作曲家が少し優勢の様子。 


R.シュトラウス・オペラの麗人といえば、佐々木典子。気品溢れる歌唱は、舞台をより格調高いものへと導きます。
─オーストリア留学時代に、身分ある方々とお会いする機会がたびたびありました。「その洗練された物腰、話しかける時の頭の角度や手の仕草などは、舞台に立つ度蘇る光景です。でも彼女たちの心の奥までは判りませんでした。私は結局、シュトラウスのオペラでその内面を覗き込んでいるのです」─ぶらあぼ11月号より 


クライマックスの八重唱。 


劇場支配人ラ・ロシュ(米谷毅彦=右)の大演説は超難曲。見事なドイツ語さばきで、貫禄を示しました。 

★ 
プロンプターは、お客様には目立たないように台詞(歌詞)を伝える役割。
舞台上の役者や歌い手に、絶妙のタイミングで、きっかけを囁きます。
この『カプリッチョ』に登場したプロンプター(ムッシュ・トープ=もぐらの意/森田有生)は、R.シュトラウスその人となって表わされました。 


ナチスがユダヤ人である印(黄色い星)をつけたフラマンとオリヴィエを連れ去ろうとしますが、ラ・ロシュが巧みに切り抜け、二人を逃がします。 


明日の11時に、と言い交わして別れたフラマンも、オリヴィエも、二度とマドレーヌの前に現れることはなかったのです。だれもいなくなってしまったサロンの跡で、年老いたマドレーヌの回想として描かれた終幕。 

例えようもない美しさ、はかなさ、そして失った者への深い哀感を繊細に表現した沼尻竜典の指揮と東京シティ・フィルの音色でした。
(写真をクリックすると拡大してご覧いただけます)

▼公演詳細はこちらをご覧ください
2009年11月公演『カプリッチョ』- 公演記録|東京二期会

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NHK ハイビジョン ウィークエンドシアター に、この夏話題の『カルメン』登場!

この夏、二期会が日本オペラ連盟、兵庫県立芸術文化センター、愛知県文化振興事業団と共同制作した「カルメン」が今週末、9/12(土) 23:00~ NHK-BS hi にて放送されます。
このプロダクションは、兵庫県立芸術文化センターで9回、東京文化会館で4回、愛知県芸術劇場で2回の合計15回上演され、どの公演もほぼ満員の大盛況でした。
オペラ「カルメン」は、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーが1873~74年に作曲したものです。親しみやすい旋律、登場人物の際立つキャラクター、わかりやすい脚本ゆえに、 世界中でとても親しまれているオペラの一つといえるのではないでしょうか。
今回の公演では、20世紀のオペラ演出界をリードしたジャン・ピエール・ポネルの薫陶を受け、 1986年から89年までパリ・オペラ座総裁を歴任した ジャン・ルイ・マルティノーティが演出を手掛けました。これまでの毒々しいカルメンではなく、美しい女性の「カルメン」をコンセプトとし、林美智子が見事に美しいカルメンを演じきりました。
どうぞ、この美しいカルメンをご堪能下さいませ!
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ 2009  歌劇「カルメン」
▼放送予定
 番組名:NHK ハイビジョン ウィークエンドシアター
 放 送:NHK BS hi  2009年9月12日 23:00~2:03
▼放送内容
 収録日:2009年7月4日 
 収録会場:兵庫県立芸術文化センター KOBERCOホール
 《出演》
 カルメン:林美智子
 ホセ:佐野成宏
 エスカミーリョ:成田博之
 ミカエラ:   安藤赴美子
 フラスキータ: 吉村美樹
 メルセデス:  田村由貴絵
 モラレス:   桝 貴志
 スニガ:    松本 進
 レメンダード: 大川信之
 ダンカイロ:  初鹿野剛
 合  唱:二期会合唱団、ひょうごプロデュ―スオペラ合唱団
 児童合唱:ひょうごプロデュースオペラ児童合唱団
 管 弦 楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
 指  揮:佐 渡   裕
 演  出:ジャン=ルイ・マルティノーティ
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撮影:三枝近志
また、BS-hiでは「カルメン」放送後に続けて、一昨年6月に紀尾井ホールで開催されたメゾ・ソプラノ林美智子のリサイタルの模様が再放送されます。
前半は日本の歌を、そして後半には得意とするオペラ・アリアを披露し、現在の充実ぶりを存分に発揮致しております。
中でも武満徹の5つの歌曲が圧巻で、殊に「死んだ男の残したものは」は聴く者の胸を打つ感動の1曲です。
林 美智子 メゾ・ソプラノ リサイタル
▼放送予定
 番組名:NHK ハイビジョン ウィークエンドシアター
 放 送:NHK BS hi 9月13日(日) 2:05 ~ 3:00 
 
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林美智子(Ms)、河原忠之(Pf) 写真提供:紀尾井ホール
▼番組サイトはこちら
NHK ハイビジョン ウイークエンド シアター
※局の都合で予定は変更されることもありますので、予めご了承ください。

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リチャード・ジョーンズ演出新国立劇場『ムツェンスクのマクベス夫人』に
出来田美智子、高橋淳らが好演!

ドミトリー・ショスタコーヴィチにより1930年代に作曲され、ソビエト時代、共産党政権による制約を受けた作品で、今もなお“衝撃的”。
出来田は、地方の豪商イズマイロフ家の女中アクシーニャを演じています。一幕に集団暴行される過酷なシーンもありますが、2幕以降、コケティッシュな演出もあり、“家政婦”顔負けの演技力を発揮、ロシア人キャストの中にあって、まったく違和感のない堂々とした声も魅力。
高橋は、酔っ払いの役(プログラムではボロ服の男)。酔ってふらつきながら歌う難しいアリアを、面白く聴かせています。アクシーニャ(出来田)と共謀して酒蔵にしのび込み、死体を見つけるシーンから、ドラマが大きく展開します。
警察署長を演じる初鹿野剛も、長台詞をよどみなく歌い、存在感を示しています。署長をぐるりと囲む男声合唱も、組織的な退廃と気だるさを感じさせます。
とっつきやすいとは言えない作品ですが、ジョーンズ演出は、2004年英国ロイヤルオペラで初演され、2007年には大野和士指揮ミラノ・スカラ座デビューとなりました。いずれも話題を呼び、非常にリアリティがあり、また退屈させません。
舞台は、1950年代の共産主義国に設定され、間奏曲も効果的に演出されており、またミハイル・シンケヴィチ率いる東京交響楽団から引き出されるショスタコーヴィチ独特の響きが、背徳的ともいえる美しさです。
透明なアンサンブルを聴かせる合唱団のレベルの高さ、細かい演出に応えた群衆の動きも注目されます。
上演される機会は多くありませんが、深い魅力を秘めた作品です。

▼公演詳細はこちらをご覧ください
ムツェンスク郡のマクベス夫人(舞台写真) - 公演記録|新国立劇場
ムツェンスク郡のマクベス夫人(公演詳細) - オペラ|新国立劇場

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アリアドネの歓び、ツェルビネッタの輝き

東京二期会オペラ劇場『ナクソス島のアリアドネ』、6月26日(木)から29日(日)まで4日間の公演の幕が下りました。
ご来場ありがとうございました。
●公演ギャラリー●・・・2日目の公演から 撮影:三枝近志
(画像をクリックすると拡大表示されます)

横山恵子の風格にあふれるプリマドンナぶり 
左はテノール歌手(青柳素晴) 後ろにエコー(谷原めぐみ) 右はナヤーデ(吉村美樹)


作曲家 小林由佳は、今回が二期会オペラデビュー。才能あふれる青年作曲家を溌剌と演じました。


ベテラン田辺とおるが演じるちょっと意地悪な執事。(右は初鹿野剛が演じる音楽教師)


きらきらと輝く安井陽子のツェルビネッタ。仕草、眼差し、微笑み、すべてがツェルビネッタそのもの。大アリア「偉大なる王女様」は、高音の跳躍が続き、技巧的にも非常に難しい曲。1人舞台は10分以上ありますが、跳ねるように、嬉しそうに歌うツェルビネッタに客席は魅了され、息をのみます。満場の喝采!!


ツェルビネッタとその仲間の道化たち
安井陽子との息もぴったり。アンサンブルの出来は公演全体の印象を左右しますが、ダンスも相まって、客席からは笑いも!


アリアドネを守るエコーたち、この衣裳は、動いた時に、羽根の飾りがゆれてとても美しい。


艶やかなアリアドネ(横山恵子)に応える柔らかく甘いバッカスの声(青柳素晴)。シュトラウスならではの、音の波に浸る幸せ。

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第七回藤沢オペラコンクール本選結果
バリトン初鹿野 剛が第一位受賞

2008年3月13日から20日まで6日間に渡って神奈川県藤沢市で開催された、第七回藤沢オペラコンクール(神奈川県藤沢市他主催・日本演奏連盟後援)において、バリトン会員の初鹿野 剛(はつかの たけし)が第1位並びに福永賞、同じくバリトン会員の友清 崇(ともきよ たかし)が第2位を受賞しました。
このコンクールは1992年から隔年開催され、今回が7回目。若手声楽家にとってはまさにオペラ界への登竜門となるコンクールで、これまでの入賞者らの国内外における活躍は言うまでもありません。
20日(木)に開催された本選には12人の若き声楽家たちが出場。二期会からは初鹿野、友清の他に真野路津紀(ソプラノ会員・入選)、安井陽子(ソプラノ会員・入選)、大沼 徹(二期会オペラ研修所第51期研修生・奨励賞)、堀 万理絵(二期会オペラ研修所第51期研修生・入選)がそれぞれ受賞致しました。
尚、受賞記念演奏会は6月1日(日)15時から藤沢市民会館大ホールにて、ゲストにテノールの福井 敬、本コンクール前回第一位の日比野 幸を迎えて開催されます。
以下はコンクール本選結果です。
第一位:初鹿野 剛
第二位:友清 崇
第三位:藤岡弦太
奨励賞:大沼 徹、中島郁子、岡田尚之
入選:真野路津紀、清水理恵、安井陽子、小野和歌子、堀 万理絵、小川里美
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受賞者のみなさん(前列)
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左から、(第二位)友清 崇、(第一位)初鹿野 剛、(第三位)藤岡弦太さん
*尚、東京二期会6月公演『ナクソス島のアリアドネ』に初鹿野 剛は音楽教師役で、安井陽子はツェルビネッタ役で出演予定です。
第七回藤沢オペラコンクール - 財団法人藤沢市芸術文化振興財団
『ナクソス島のアリアドネ』 - 東京二期会オペラ劇場2008年6月公演
はつかのたけしについて。 - 初鹿野剛のblog

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初鹿野剛 ラインスベルクでの『ファルスタッフ』で好評を博す。

「ヴァーグナーを歌える様な声の実力を示した」(フランクフルター・アルゲマイネ紙)、
「既にほとんど熟練の域に達したファルスタッフ」(ベルリナー・ツァイトゥング紙)、
「ヴァリエーションが多様な演技、適切な発音等で輝いていた」(メルキッシェ・アルゲマイネ紙)

バリトン会員 初鹿野剛 (はつかの・たけし)は去る1月、ドイツのベルリン・ドイツ・オペラ他で開かれたラインスベルク室内歌劇場声楽コンクールにおいて入賞し、8月10日から18までの6日間ラインスベルクにて行われた第17回若い声楽家の為の国際フェスティヴァル・ヴェルディ《ファルスタッフ》公演において、主役であるファルスタッフを演じました。
予てより「若手声楽家の登竜門」と呼ばれるこのコンクールはベルリンの作曲家であるジークフリート・マットゥス氏が1991年に創設したもので、入賞者はマットゥス氏が創設した毎夏のフェスティヴァルに招待され、期間中開催されるオペラ公演やオペラ・ガラコンサートを始めとする様々な演奏会に出演する事ができます。
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左:初鹿野剛

参考
ドイツ・ラインスベルク室内歌劇場  

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